2018/08/05

公園へ行かないか? 火曜日に

公園へ行かないか? 火曜日に
柴崎 友香
新潮社
売り上げランキング: 29,627
■柴崎友香
2018年7月30日刊。バスの時間待ちのためにふらりと入ったJR大阪駅のbookstudio(狭いので品揃えは期待できない)で棚にささっていた。
全くノーチェックだったので嬉しかった。
タイトルはのんびりした感じだなーと引き抜いて帯を見ると
世界各国から作家や詩人たちが集まる、IWP(インターナショナル・ライティング・プログラム)に参加した著者が
アメリカ大統領選挙を目撃した三カ月を描く小説集。
などと書いてある。

へー、アメリカにそういうのってなんか松田(青子)さんっぽい、けど「柴崎さんなんや~」というのが読む前の感想。

あと帯に「小説」とあるから、「まぁ、いつもの、エッセイみたいだけど実体験を元にした小説で、小説ぽくないやつなんやろな」と思ったけど、読んでいるうちにこれが「小説」だということはすっかりどこかに行ってしまって、エッセイというか、評論に近いというか、いっそルポタージュ?として読み終わった。
読みはじめる前に帯も本のカバーも外して読むので、読み終わって改めてカバーと帯を付け直すときに帯を見直して「あれっ。小説、って書いてあるなあ…」。
ということはどこかはフィクション、なのかなあ。でもこの著作内で「わたし」が考えたことはフィクションじゃないよね。で、この作品で大事なのはそこだから。もちろんアメリカの描写とか、一緒になった各国のいろんな作家さんのこととか、食べ物のことや景色のことも面白かったし興味深かったんだけど、そこに「フィクション」が混じっていたとしても、それは多分「相手のプライバシーを守る為」とかの理由があることだろうし、この作品の主幹を揺るがすことにはならない。

長篇では無く、短篇がいくつか集まっているが、すべて、IWPのときの体験が書かれている。
以下、【目次】と初出と簡単な内容のメモを記します。
白紙で読まれたい方はスルー推奨です。

公園へ行かないか? 火曜日に
「新潮」2017年5月号
「パークに行かない?」と気軽に誘われてついて行ったらとんでもなく歩かされたという話。 あと「トモカはグーグルマップスだ」っていうのが面白かった。
ホラー映画教室
「新潮」2017年7月号
著者はホラー映画が好きらしい。紫色のブルーコーンチップスと苺がずっと出てくる。建物の描写も面白い。
It would be great!
「ちくま」2017年2月号
この言葉を正確に訳すには。文脈とかその場の雰囲気とか表情によって変わるんだそう。
とうもろこし畑の七面鳥
「新潮」2017年9月号
広大なトウモロコシ畑に行く話。七面鳥がそこらにいるのかー。ぷちぷち音の正体は結局不明なまま。
ニューヨーク、二〇一六年十一月
「新潮」2017年11月号
トランプ対ヒラリー・クリントンの大統領選について。
著者はそのとき、あえて滞在を伸ばしてニューヨークにいた。
小さな町での暮らし/ここと、そこ
「新潮」2018年1月号
いつも長めのよくない部屋にあたること。
IWPのみなさんの雰囲気、日常など。
1969 1977 1981 1985 そして2016
書き下ろし
川口隆夫が大野一雄の過去のダンスを再現する公演を鑑賞した話。
ニューオーリンズの幽霊たち
「新潮」2018年6月号
ホラーの街、ニューオーリンズ。
本場のカフェデュモンドに行った話。
第二次世界大戦博物館の話。この話は無防備に読んだら気持ちがずぅーんと沈んでしまった。
わたしを野球に連れてって
書き下ろし
シカゴの空港での長い長い待ち時間。シカゴ・カブスがワールド・シリーズに出たあの年である。が、世界には野球に興味がない国の方が多いという話(?)。
生存者たちと死者たちの名前
「文學界」2017年3月号
ホロコースト記念博物館と、第二次世界大戦博物館に行った話。
言葉、音楽、言葉
「新潮」2018年3月号
アメリカにいて、アメリカ英語を話していると、その言葉のチョイスとか雰囲気とかに左右されて普段言わないようなことを言っちゃってる、という話。
作家にとってエモーショナルな言語とは、という話。