2018/06/21

怪盗ニック全仕事4

怪盗ニック全仕事4 (創元推理文庫)
エドワード・D・ホック
東京創元社
売り上げランキング: 343,055
kindle版
■エドワード・D・ホック 翻訳:木村二郎
【価値あるものは決して盗まない】怪盗ニック・ヴェルヴェット・シリーズ第4弾。
全15篇収録。原著発表年は1983年~1989年。

このシリーズ後半で重要なキャラとなる【白の女王】ことサンドラ・パリスがこの巻で初めて登場し、活躍する。
白の女王 不可能を朝食前に
というキメ台詞(そういうメッセージを記したカードが置かれている。キャッツアイみたいだ)があったりして、美人でスマートな怪盗ぶりで、なんだかすごくカッコイイ。
ニック、キャラ負けしてないか…?
この小説が書かれた時代では流行らなかったのかもしれないけど、いまだったら白の女王シリーズのほうが売れるような気がする。

最初に名前だけ聞いたときはニックのライバルだし、同じ分野で邪魔する嫌なのが出てきたのかと思ったけど、実際に彼女の怪盗の鮮やかさぶりを読んだり、ニックと対面した時の言動などを読むと一瞬で好感を抱き、ファンに変わった。
大変魅力的な女性で、ニックと年回りも合うので色っぽい関係になるのかなーと思ったけどニックには長年つきあっている(このシリーズでは主人公たちが年齢を重ねていくので本書では二十年くらい一緒に暮らしていることになっている)ガールフレンドのグロリアがいるので、そのへんの線引きはきっちりしている。

しかしそのグロリアとニックのあいだに、本書ではかなりハードな亀裂が入る話も収録されている。
その亀裂は広がるのかと思いきや、特に大きな努力とかもなくなんとなく元のさやに納まる。そして後の話ではそのことにちょっと触れることはあるが、グロリアとの仲はおおむね良好だ。
……えーと、グロリアのあれは、このシリーズみたいなトーンの話で必要だったのかなあ?
なんか無駄にいろんなひとの地雷踏み抜いて読感悪くしただけじゃ……。

このシリーズは1巻を2015年9月に,2巻を2016年を6月に読んで3巻を読まずに今回4巻を読んだので細かい設定を最初忘れていたが、ニックが怪盗をして口を糊していることをグロリアが知っている設定になっていたのでちょっとびっくりした。どうやら3巻でカミングアウトがあったらしい。

15篇の中には微妙だなーというのもあったが、だいたいそこそこ面白かった。
「そんなもの盗むの!?」っていう驚きはこの巻ではほぼ感じられなかったのはこっちが慣れたから、だけではないような。

目次
白の女王のメニューを盗め
売れない原稿を盗め
ハロウィーンのかぼちゃを盗め
図書館の本を盗め
枯れた鉢植えを盗め
使い古された撚い糸玉を盗め
紙細工の城を盗め
人気作家の消しゴムを盗め
臭腺を持つスカンクを盗め
消えた女のハイヒールを盗め
闘牛士のケープを盗め
社長のバースディ・ケーキを盗め
色褪せた国旗を盗め
医師の中華箸を盗め
空っぽの鳥籠を盗め
(解説)怪盗を捕らえてみれば女なり/木村仁良