2018/02/24

野菜讃歌

野菜讃歌 (講談社文芸文庫)
講談社 (2014-04-25)
売り上げランキング: 149,457
kindle版
■庄野潤三
1998(平成10)年10月講談社単行本刊を底本とし、各篇末尾に初出掲載の2010年1月8日講談社学芸文庫刊、の電子書籍版。

大きく4つの章に分かれている。
Ⅰはいつもの日常随筆。
Ⅱは関わりのある他作家の作品への(解説というには少々短い)紹介文的なものや、過去の自作や近著の紹介文など。1つ、著者の執筆ではなくて、小玉祥子さんという方が著者の著作などから抜粋して書かれた紹介文もある。
Ⅲはつきあいのある作家の全集の月報に寄せられた文章や、雑誌掲載文。懐かしむ感じの随筆、思い出話。「第三の新人」関係が多いかなあ。
Ⅳは日本経済新聞に連載されたタイトル通りの内容。
本書全体の4割の分量がある。
お父様の話から始まって、自身の小学校からの学生生活、作家になる前の、中学校の先生時代、朝日放送社員時代、並行して小説執筆のこと、芥川賞受賞、つきあいのあった作家、著名人との間柄紹介、直近の作品で書きたいことなど。略歴をご自身でまとめられているから、非常に貴重な資料で、素晴らしいことだ。

掲載誌がばらばらなので、同じ作品について同じような(でも微妙に違う)紹介文が何回か出てきたりするのは庄野潤三読者なら随筆でも同様のことがお馴染みであるのでまあいつものことかと。これは「単行本あとがき」でも断っておられる。
若い作家さんはこういうの無いですけど、やっぱり神経つかっておられるんでしょうね。

御本人と本書に出てくる主な有名人の生年・没年月日を並べてみる。
最も親しいつきあいだったのは小沼丹と阪田寛夫あたりかと。遠藤周作についてはそこまで親交が深かったわけではないが、亡くなってみると寂しい、というような記述がみられる。
井伏鱒二は師匠的な位置だが「先生」ではなく「さん」くらいの関係。小沼が井伏を描いた文章を引いていて、それがすごく面白い。井伏鱒二のあのお可愛らしい(?)飄々としたユーモラスな様子がよく伝わってくる。
阪田寛夫は朝日放送で同僚、エッセイにもよく名前が登場するので親しさがわかる。阪田の次女である大浦みずきも同様で、宝塚歌劇のスターであった彼女の芸名名付け親であり、「なつめちゃん」はエッセイに名前がよく登場する。

庄野 潤三(1921年(大正10年)2月9日 - 2009年(平成21年)9月21日)

井伏 鱒二(1898年(明治31年)2月15日 - 1993年(平成5年)7月10日)
遠藤 周作(1923年(大正12年)3月27日 - 1996年(平成8年)9月29日)
小沼 丹(1918年(大正7年)9月9日 - 1996年(平成8年)11月8日)
安岡 章太郎(1920年4月18日 - 2013年1月26日)
吉行 淳之介(1924年(大正13年)4月13日 - 1994年(平成6年)7月26日)
阪田 寛夫(1925年10月18日 - 2005年3月22日)
大浦 みずき(本名:阪田なつめ。1956年8月29日 - 2009年11月14日)

目次
I
梅の実とり/野菜讃歌/わが散歩・水仙/じいたんのハーモニカ その後/ラムの『エリア随筆』/この夏のこと/庭のブルームーン/湧き出るよろこび/この夏の思い出/うさぎの話/近況I/近況II/うさぎのミミリー/飯田中尉のこと/朴葉みそ/わが庭の眺め/このごろ/名言/自然堂のことなど/あとにのこるは
II
お祝いの絨毯の話──『ピアノの音』/宝塚・井伏さんの思い出──『散歩道から』/『夕べの雲』の丘/遠藤の新しい本/フィリップの手紙/『沙翁傑作集』のこと──父の本棚/井伏さんの『徴用中のこと』/「われとともに老いよ」――『ピアノの音』/阪田寛夫と「ノイマン爺さん」/『絵合せ』を読む/私のリフレッシュ――談話・小玉祥子記/新たなるよろこび――『ピアノの音』

小沼とのつきあい/フランスの土産話――遠藤周作を偲ぶ/遠藤から届いた花/私の好きな歌/王維の山の詩/日本語の達人/大根おろしの汁について/池田さんとのご縁/「杜子春」/師弟の間柄/井伏さんのお酒

私の履歴書
【参考資料】単行本あとがき