2017/09/28

プレイバック

プレイバック ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 7
早川書房 (2012-08-01)
売り上げランキング: 14,772
kindle版
■レイモンド・チャンドラー 翻訳:清水俊二
本書は1958年に発表された"Playback"の全訳で、私立探偵フィリップ・マーロウ・シリーズ長篇第7作。チャンドラーの最後の完成された作品で、遺作ということになる。

タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。
この作品には有名な台詞が出てくる。正確に言うと、その元になったフレーズが出てくる。
翻訳家の違いかと思ったら、上記は正確にはチャンドラー作品の翻訳では無いということをググってみて初めて知った。
ウィキペディアの「プレイバック」参照。
原文はこうである。
「タフ」なんてどこにも出てこないんですね。意訳ってやつでしょうか。
“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”
清水訳は
「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」。
ちなみにネットで見たら村上春樹訳はかなり原文に忠実に翻訳してある模様

さて作品の感想だが。
ひとことで言うと「全然ダメー」。

以下、独断と偏見に満ちた感想ですのでこの作品を愛している方は読まないでやってください。

ミステリーとしても竜頭蛇尾というか全然面白くないし、小説としても全然良くないし、マーロウも全然格好良くない。むしろ昨日今日出会ったばかりの仕事絡みの女性と次々お色気シーンに縺れ込んでいて、相手の女性も何故かわからんがいきなりめろめろでベッドへ直行っていう風情だし、「んなアホなー。まー男のひとはこういうの愉しいのかもしれんけどさー」と完全に冷ややかな目で突き放してしか読めない。そりゃーマーロウはイイ男なんだろうけどもさー。あれ? マーロウってこんな尻軽だったっけか?

そもそも事件が最初っから依頼人の依頼人からの又聞きみたいな話で要点がずーっとつかめずとりあえず対象者を尾行しろみたいなところから始まってそれはいいんだけどいつまでたっても意味不明のまま、依頼人の弁護士からは理不尽に偉そうにされ怒鳴りつけられる。
なんのためにこんな苦労をしてるのか、途中からマーロウは依頼人そっちのけで己の好奇心(あと女性への関心)で動くんだけどそれも読んでいる側には「そこまでなにか惹きつけられる要素あったかなあ?」っていうレベルで。
魅力的な脇役とかもほとんど出てこないし(ホテルの受け付けのカップルは初々しくて微笑ましくて良かったけど)。
正直読んでいてなんにも面白くないし興味もわかないし眉間に皺寄りっぱなしだったわ。

それでも我慢して読み続けたのは今までのチャンドラー作品への信頼と敬意があったから。――なのに。
ああそれなのにそれなのに、結局そんなしょーもないどこにでもある(当事者リアルには大変な体験だがミステリーとしては)ケースでここまで引っ張ってたのか? という脱力感が…。
タイトルについても今回は意味がよくわからないままだった。

訳者あとがきにある当時の評価などがかなり頷けるなあ…。【泰山鳴動鼠一匹】いやそもそも【泰山鳴動】してたかどうかも怪しいけどね…。

間違っても、一番最初にこの作品を読むのだけは、避けていただきたい! 他は良いんです~『長いお別れ』とか『湖中の女』とか素晴らしいんです~。
「短いから読みやすそう」とかいう動機でこれを最初に読んでチャンドラー嫌いにならないことを祈る。本当に。

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レイモンド チャンドラー
早川書房
売り上げランキング: 172,414

ウワサによると(?)村上春樹訳で読むとまだマシらしい。