2017/07/22

こいしいたべもの

こいしいたべもの (文春文庫)
森下 典子
文藝春秋 (2017-07-06)
売り上げランキング: 6,161
■森下典子
いとしいたべもの』の続きにあたる。
初出は、(株)カジワラのHP「おいしさ さ・え・ら(株)EPARKのHP「tomoni、アサヒフードアンドヘルスケア(株)の「彩々生活」、一般財団法人 首都高速道路協会の「首都高」で、大幅加筆修正したもの。文庫オリジナル。

やっぱりこのひとの絵は良いなあ。
一瞬写真?と見紛うくらい上手で、じっと見つめるとやっぱり絵だとわかる、そのタッチに味わいがあって、あたたかくてやわらかくて、美味しそう。

前作で書かれていたかは覚えていないが、今回は中学受験したことなどが何度か出てきた。弟さんがおられる(著者が大学生の時に中学生とある)。
気楽な読み物、という意識で読んでいるとたまにひとのこころの深い所にグサッと入り込んでくる文章があったりするから油断ならない。カレールウを混ぜて食べる父親に対して反抗期のときに感じた思い、大人になってからの思いなど、かなり「わかる…」と思いつつ苦しいような悲しいような気持ちが込み上げた。うちの家族にカレーライスをこのように混ぜて食べる者はいないし、あんまり反抗期にすら父に対して反抗的な気持ちになったことはないんだけれど。

お茶の先生に、お茶のお菓子は季節感を感じるものを選ばなきゃというふうなことを諭される回、著者は和菓子の店を覗かずにはいられないとあり、わたしもこうありたいと前々から思っているが全然実行できていないので「あー」と首を垂れる。

毎日お弁当を作ってくれる母親はありがたいが、時にはジャンクなものを食べたい(「コロッケパンは自由の味」)、というのも「わかるわー」。

「シュウちゃんの芋きん」のシュウちゃん、いいなあ、何故著者の家にちょくちょく顔を出していたのか、気になる。こういうつきあいっていまはどんどん薄れて行っているような。ほんとに辞めちゃったのかなあ。

「ちびくろサンボのホットケーキ」もすごく共感。やっぱりホットケーキって特別なおやつだった。幼い頃、母がそれをフライパンで焼いているのに気付くとたちまちテンションが上がった。虎がぐるぐるまわってとけてバターになって、それでホットケーキを焼いたという、そのシーンは垂涎の思いで絵本を見つめていたし、もう一生忘れっこない。少し大きくなって自分で焼けるようになると、牛乳の量や混ぜ方で仕上がりが全然違ってくるので、毎回いろいろ工夫して、結局セオリー通りが一番美味しいのだ、ということで落ち着いている。

【目次】
はじめに
読書のおとも/ 「かっくまら」の鳩サブレー/ 一筋の梅の香り/ 桃饅頭と中国の恋の物語/ 日常の手触り/ 潮干狩りでアースする/ 四月、桜の木の下で/ 九歳の夏、岩手へ行く/ 小さなものにこそ、心を篭める/ 父と焼きビーフン/カレーライス、混ぜる派? 混ぜない派?/コロッケパンは自由の味/停電の夜の缶詰/身も心もほどけるクリーム白玉あんみつ/夜明けのペヤング/駅弁の沢村貞子/シュウちゃんの芋きん/前世と熟柿とブランデー/横川駅の峠の釜めし/ワッフルとスカーレット/中学受験、合格発表の日/ちびくろサンボのホットケーキ
おわりに

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