2017/07/16

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活 (講談社文庫)
高野 秀行
講談社 (2015-09-15)
売り上げランキング: 106,641
kindle版
■高野秀行
本作は2012年11月講談社単行本刊、2015年9月講談社文庫刊の電子書籍版である。

2011年6月時点で、日本には外国人が207万人もいる。彼らの多くは一時的な滞在者ではなく、10年20年という単位で住んでいるという。
本書は、そんなふうに日本に定住している外国人が、どんな食事を摂っているのか、その食材はどこで買うのか、「ふつうの外国人」の「ふだん食べているもの」を知りたいという目的で1年間取材して書かれた。相棒は講談社カメラマンの森清さん、講談社編集者の溝口真帆さん、フリー編集者の河合好見さん。
「あとがき」に【私にとって本書は初めての「本格ルポ」であり】とあり、えっ、そうか、いままでの高野本は「本格ルポ」じゃなかったか、と驚いたりした。ルポタージュの定義ってなんでしたっけね。

連載第3回の頃に東日本大震災が起こり、第3回、第4回はその影響が濃く出ている。多和田葉子の本にも出てきたけどやっぱり外国からは「日本はもう終わりだ。日本から逃げなきゃ」というふうに見られていたんだね、ということがよくわかる。

外国によく取材に行き、外国語に堪能な高野さんならではのするっと入り込んでいく感じがすごい。また、迎えてくれる外国人の皆さんも非常に親切でフレンドリーだ。同じ文化の外国人同士が日本でお寺やモスクに集まり、故郷の食べ物を作ったり持ち寄ったりして楽しく飲み食いしている様は読んでいるだけで顔がほころぶ、良い空気だなあ、とほっこりした。しかもいつもどれも美味しそうだ。日本の食材や調味料では本場の味にはならないのでわざわざ個人的に仕入れたり、本場のものを扱っている店に買いに行ったりしているのがほとんど。日本人が海外で日本食を作りたくなった時も同じようなことになるんでしょうね。

本書では「あとがき」と「文庫版へのあとがき」があるが、後者のほうで最近の日本の風潮を批判していて、ちょっと珍しく感じた。興味深く読んだ。まあたしかに政府のキャンペーンとかで「クールジャパン」とか言い始めた頃からそういうふうにマスコミとかもなってきた面があるかな。でも自虐ばっかりしているのもどうかなと思わないでもないし。うーん。どっちかに偏向しないように、バランスが上手に取れていたら良いんだろうな。

目次
はじめに
第1章 成田のタイ寺院
第2章 イラン人のベリーダンサー
第3章 震災下の在日外国人
第4章 南三陸町のフィリピン女性
第5章 神楽坂のフランス人
第6章 中華学校のお弁当
第7章 群馬県館林市のモスク
第8章 鶴見の沖縄系ブラジル人
第9章 西葛西のインド人
第10章 ロシアン・クリスマスの誘惑
第11章 朝鮮族中国人の手作りキムチ
第12章 震災直後に生まれたスーダン人の女の子、満一歳のお誕生日会
おわりに
文庫版へのあとがき
漫画解説 グレゴリ青山