2017/03/23

硝子戸の中 【再々々読】

硝子戸の中
硝子戸の中
posted with amazlet at 17.03.23
(2012-09-27)
kindle版
■夏目漱石
初出:「朝日新聞」1915(大正4)年1月13日~2月23日

感想を書くのは3回目なのでもう大概書いてしまった感じだが、まあこういうのはずーっと読んでいられる。なんの心配も要らない心地良さというか。
前も思ったことだけど、書いていなかったので今回は忘れないように書いておきたい、漱石の性格がよく表れているなー、と思うエピソード。

三十一~三十二の、小学校時代の、【喜いちゃんという仲の好い友達】との思い出話。
喜いちゃんが子どもらしく家から持ち出してきた本を漱石にウソみたいに安い値段で売っちゃって、後で叱られて返してもらいにきた。漱石は本は返したけど、返金は受け取らなかった、表面だけ見たらそれだけの話である。でもその心のうちでいろいろ考えていることが、その思考が「ははあ……」と大変にこちらを考えさせる内容で。

子どものときからいろいろ難しいヒトだったんだネエ、いやまあ分かるけどその気持ちも、でも実際やったら「まーなんて頑ななんでしょう」と云われかねない。

そしてそれを受けての三十三回は、出来事が珍しく何も書かれず、漱石の葛藤、心情の吐露のようなことが縷々書かれている。
これは三十一や三十二を読むのと同じような調子で一読してもよくわからない。
ん?
と思って今度は一字一句考えながら読む。
けどやっぱりよくわからない。
いや日本語はわかるんだけど。

内容が難しいというんじゃなくて……どうやったらここまで人間を疑うようになるのかというか。嫌な人・理解できない人はそりゃあ、いますけど。うーん。いやこれ、大変ですよ。めっちゃ苦しいよ、こんなこと考えながら生きていたら。
あんな賢い、尊いお方が。ひとに騙される、ということについてのこんなに苦しい気持ちをずっと抱えて生きておられた。
こんなことを考えないといけないとは、いったいどういう体験をしてきたのか(やっぱ養父関係とかでしょうか、詳しくは知らないけど)。
そんな目に遭わせたお前ら、夏目先生を誰だと思ってんだ、そこに正座シロー! そして反省シロー!!
とか言いたくなっちゃう。

そうしてうぐぐぐぐ、と眉根を寄せて読む次の三十四のなあんて爽やかで気持ちの良いエピソードであること!(前半は「アレマー」という感じだが後半、後の付けたしが素晴らしい)。

次いで幼いころのお母様との思い出が語られ、最後はかわいい娘さんたちが焚火にあたる微笑ましい様子で、本作は終わっている。
わたしは場所があれこれ移動しない話が好きだが、これもそういえばそういう話でもあるね(小説じゃなくてエッセイだけど)。

あと、前に戻るけど十六の床屋の話から十七の御作さんの話に至る部分も好きー。
漱石と床屋ってなんか『草枕』思い出して良いんだよね~御作さんの前で初心な感じの金之助萌えー!

前回読んだときの感想はこちら

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