2017/03/13

巨流アマゾンを遡れ

【カラー版】巨流アマゾンを遡れ (集英社文庫)
集英社 (2014-06-26)
売り上げランキング: 138
kindle版
■高野秀行
日替わりセールで購入。
本書はなかなか変わった来歴というか、そもそも最初に当時早稲田大学6年生(6年生?)だった著者に持ち込まれた企画はあの「地球の歩き方」だったという。つまり、ガイドブックですよね。
でも本書を読んでみればわかるけど、これはガイドブックじゃなくて旅行記・旅行体験記だ。
どういうことかというのは【文庫版あとがき】に詳しいけど、要は、ガイドブックを書くつもりがこうなっちゃったらしい。
アマゾンの船旅』(地球の歩き方)ダイヤモンド・ビッグ社 (1991/09)

単行本には体裁を整えるためにガイドブック的なページもあって、本書本文にある部分はかなり活字が小さかったらしい。出版社側も【地球の歩き方】シリーズとしては扱えず、書店では文芸書扱いもされず、つまり扱いに困られ、売れなかったそうである。
2003年3月に改題して集英社で文庫化したときは、ガイド部分やカラー写真をを削ってしまったそうだ。単行本はどんなだったんだろうと興味がわくが、元々あんまり刷られなくて絶版になって久しく、ためしにAmazonで見てみたら8千円くらいの値がついている。ちょっと買えないな! そこらの図書館でも置いてないだろうなー。
kindle版はこの集英社文庫を底本にしているんだけど、電子書籍版特典として巻末に写真が多数収録されているのが嬉しい。注釈が無いのでよくわからないのもあるんだけど。

内容は、別にアマゾンに特に興味が無いのにも関わらず、かなり面白かった!
高野さんは1966年生まれ(って、先日読んだ星野博美と同い年かあ)で、本書中の年齢は24歳くらい。1枚だけ、高野さんが写っている写真があるが、わーロン毛! 若ーい!
文章とかもほぼ違和感なくて、あっというまにいつものタカノ・ワールドに引き込まれた。

アマゾンというとまあとにかく広いわけで、しかしまずアマゾンにたどり着くまでで既に長い。もっと直接アクセスする方法もあるみたいけど、そのへんは高野さんたちのやり方というか。序章で日本からブラジルはサンパウロに飛んでそこから陸路をバスでリオ(6時間)→サルバドール(36時間)。観光したようなのだが2行くらい書いてあるだけ。で、ここからようやく、アマゾン河口の街ベレン行のバスに乗る。34時間後、無事到着。で、めでたく第1章が始まるわけだ。

とりあえず1990年前後の、今から約30年前の情報だというのは踏まえたうえで。
印象に残ったことなど。
虫(蚊や蚋など吸血でかゆくなる系)がずっとつきまとうから蚊取り線香(日本製じゃないと虫が落ちない)と蚊帳(目が細かいもの)が必須。
川を船で上って行く。船内では各自、綿の布でハンモックを吊るしてそこで休む。
ピラニアに人間が襲われたという話は聞かない(釣りのときに指を齧られたとかはある)。
ピラニアの歯は唇で隠れている?(むき出しのキバはやらせ?)
原住民が昔ながらの集落で住んでいるところは保護区のようになっており、そこを調査目的などで管理しようとした白人が襲われ出したのは近年になってから。それは自分たちの環境が壊されることへの危機感から。

本書で一番印象に残っているのは、第7章。逆ルートからアマゾン入りした著者の後輩宮沢さんの身に1ヶ月の間に起こった話だ。
到着早々身ぐるみ剥がれて、大変な目に遭ってその後周囲の人に助けられたりして最終的に行商人のグループに入れられて物売りになっていた。そして彼らは市場で偶然再会する…。
凄過ぎる。逞しいというか、やっぱ怖いなーと。でも捨てる神あれば拾う神あり? 貧しい商人たちがなんのかんの利用しつつも助けてくれているところがイイナアと。もっとヤバイ人に関われていたらどうなっていたことか!
というわけで本書の旅行メンバーは著者と写真家の鈴木さんと宮沢さんのトリオなんだけど、この章以外でそのへんの記述が無いのは「旅行記」じゃなくて「ガイドブック」だから常に一緒にいるけど書いていないってことみたい。

意外だったのは文明化されていない未開の秘境探検だからいろんな不便や衛生状況の悪さ、食べ物の合わなさがあるかと思ったんだけどそういうのがほとんど出てこない。これは、著者がどんなところでもテキオーしてしまう高野秀行だからだと思う(どきっぱり!)。
あと、語学能力の高さはこの本でもそこここに見受けられる。ポルトガル語とかスペイン語とか、なんでそんなにさくさく会得出来るんだ?

読後、本書に出てきた街の名前などを探してグーグルマップでアマゾンらへんを見てみた。その広大さにおののく。まだまだこのへんはストリートビューに載っていないところがほとんどだなあ(当然か)。

目次
はじめに
序章 アマゾンへ
第1章 旅は市場で始まった〔ベレン〕
第2章 出航〔ベレン―ジャリ〕
第3章 奇妙な町の奇妙な住人〔ジャリ〕
第4章 世界でいちばんすごい名前のホテル〔サンタレン〕
第5章 加熱する都市〔マナウス〕
第6章 水と森と時間〔テフェ〕
第7章 日本人の行商人に会った話〔テフェⅡ〕
第8章 南国の楽園にハマる〔ジュタイ〕
第9章 船もたまに沈みそうになる〔ジュタイ―タバチンガ〕
第10章 ごたまぜの国境地帯〔タバチンガ/レティシア〕
第11章 インディオと呼ばれる人々〔レティシアⅡ〕
第12章 コロンビア・コカイン・ストーリー〔レティシアⅢ〕
第13章 最後に出会ったアマゾン中のアマゾン〔イキトス〕
終章 アマゾン源流〔カイヨマ・ミスミ山〕
文庫版あとがき
電子版特典写真

アマゾンの船旅 (地球の歩き方・紀行ガイド)
高野 秀行 鈴木 邦弘
ダイヤモンド・ビッグ社
売り上げランキング: 820,733