2017/02/18

おばちゃんたちのいるところ Where the Wild Ladies Are

おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are
松田 青子
中央公論新社
売り上げランキング: 8,306
■松田青子
本屋で買ったサイン本。サインは、崩したりしていない、若い女性の書いた今時のといった感じ。
わー面白かったーもっと早く読んどけば良かったー!
落語や歌舞伎で有名なお話の世界をモチーフに、お化けの世界の住人が現代社会で元気いっぱいに活躍している、そんな変わった短いお話が17入っていて、世界が少しずつ重なっている、連作短篇集。
あ、全然怪談とかじゃアリマセン。怖さ一ミリも無し。
雑誌「アンデル」創刊号と第2号に収録されていたのは本書では第2話と第3話。

そのときはあんまりピンと来なかったのだが、こういうタイプの話をずっと続けて読んでいくと成程な~と。
休日にのんびり横になりながら、時々うとうとっとしながら夢と現の間をいききするような、不思議なお話達を連続して読んでいくと読めば読むほど面白くなっていって、あっ、次はこうきたか、とか、あの話のあのひとが、とか。
短篇2つを独立で読んでいた感想から予想したよりずっとずっと面白かった。

タイトルから「いったいどんな話?」って意味不明なのかもしれないが、全体の印象としてすっごく明るい。ポップ。
お化けとか、死んだ人が蘇ってたりとか、ふつーに会社で働いてたりとかするんだけど、ノリがライトで、さばさばしている。全然現世に執着してるとか誰かをうらんでるとかそういうマイナスの感情が無い。
1篇1篇はごく短いということもあって、さくっと、ひねくれる前に、真っ直ぐなまま、切り上げられているのがいいのだろう。
関西弁を話すひとがわりと出てくるからユーモラスな感じになっていたり。
「菊枝の青春」は姫路のモノレールの話が出てきたりしてやけに詳しいなと思ったら著者は姫路出身なのだった。

松田さんの作品らしいなーっていう、現代のいびつな雇用状況や女性・若者目線の怒りを込めた作品もあったりして、うむうむ、やはりそこは書いておかなきゃね、という感じなのだが、全体のなかに巧い具合に溶け込んでいて、いい塩梅。主張しすぎず、でもビシッと決まっている。共感し、うなずきながら読んだ。

小難しい純文学っぽさが無くて、「エンタメ?」っていうくらい読みやすくて、わかりやすい。
短篇としても読めるけど、続けて読むことでどんどん世界が膨らんでいくタイプのお話たちなので、ぜひずっぷりとこの独特の空気感にひたっていただきたい。
最初の話だけ掲載誌が「早稲田文学」で、他は全部「アンデル」。

小幡彩貴さんのイラストが作品の雰囲気とぴったりでとても楽しい。これはこのひとかなーとか文章と絵を交互に見たりして。
装丁は大久保伸子さん。
帯には岸本佐知子さんの推薦コメントが!

目次
みがきをかける
牡丹柄の灯籠
ひなちゃん
悋気しい
おばちゃんたちのいるところ
愛してた
クズハの一生
彼女ができること
燃えているのは心
私のスーパーパワー
最後のお迎え
「チーム・更科」
休戦日
楽しそう
エノキの一生
菊枝の青春
下りない