2017/02/18

書店猫ハムレットの跳躍

書店猫ハムレットの跳躍 (創元推理文庫)
アリ・ブランドン
東京創元社
売り上げランキング: 70,523
kindle版
■アリ・ブランドン 翻訳:越智睦
日替わりセールで購入。
原書タイトルは"A Novel Way to Die"。

Amazonのアオリなどに「名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾」と書いてあるから「シリーズ第1作なんだな」と安心して読みはじめたのにあれれ…? 違和感、どう考えても「前作を踏まえて」の記述が何度も出てくるのだ。「ほら、例のあれよ」的なのが。

読了後「翻訳者あとがき」を読んだら【本作はその二作目に当たります。日本で二作目からご紹介する運びになったのは、本作が最もハムレットの魅力をみなさまにお伝えできると判断してのことです。】ということで……なーんだ、やっぱりそうだったのかー。

翻訳書にはたまにあるこの現象。原書既刊は4冊ということだが、日本ではまだ2作(第2、第3)しか翻訳されておらず、来月もう1冊出るようだ。既に第1作も翻訳されていればそちらを先に読みたいところだがそれもかなわず…。

ミステリーとしては残念ながらコージーということを差し引いたとしてもかなり微妙……。
犯人はかなり最初のほうからあやしい言動があったり、話の構造上「このひとが犯人だろうなあ」というのがそのまんま正解だった。どんでん返しとかもなし。

しかし登場人物のキャラクターが結構よくて、エンタメ小説としては充分楽しめる。
猫のハムレットも愛らしいし(おとなしく愛玩されるタイプじゃなくてかなり強気の王様なところがまたイイ)。
肝心の主人公ダーラ(30代半ば・独身)があんまり聡明じゃなくてちょっとうぬぼれやさん(?)で警察のことをぺらぺら喋っちゃうところとかが残念だけど、まあ彼女も悪いひとじゃないし。

書店が舞台だけど、描写からするとインテリアなどにも配慮した結構オシャレな店内っぽいし、日本の書店とは随分雰囲気が違うなあ。
ジェイムズ・T・ジェイムズという「姓」と「名」が同じ店長さんは渋くて格好良いし、ロバートの今時の十代の素直さとあやうさが同居したキャラも見逃せない。ダーラの良きアドバイザー、お姉さんみたいな存在のジェイクも素敵。

それにしても名探偵猫ハムレットは、犯人を示すワードなどを含んだ本(店の本)を床に落とすことで愚かな人間たちに真実を教えようとするんだけど、本当に他の根拠も何もなくみんながそれをまるっと信じているのが(かろうじて、他人には奇異に映るという自覚はある)、なんだか最後まで違和感だった(しかもその割に最後に落とされた書物についてみんなスルーし過ぎ! と読みながら「ほらっ、そこにヒントがあるんでしょ」とハラハラしちゃったぜ)。
第1作から読んだらこのへんの違和感も登場人物と一緒に馴染んでいけたんじゃないかなあという気がするんだけど……。