2017/01/13

いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集

いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)
ダフネ・デュ・モーリア
東京創元社
売り上げランキング: 28,628
kindle版
■ダフネ・デュ・モーリア 翻訳:務台夏子
1月10日のkindle日替わりセールで上がってきたので即購入。
昔読んだなあといま調べたら2004年の夏だった。短篇集『』と『レイチェル』。代表作の『レベッカ』は当時版切れだったので機会を逸し、そのまま読んでない。
このひとの作品はホラー、に属するのかなあ。すごく広い意味でミステリーといえなくもない? 本書にはなんとSFまで出てきたのでびっくりした。

ダフネ・デュ・モーリアは1907年ロンドン生まれ。
1907年って和暦だと明治40年。
でも読んでいて全然古さを感じないのは翻訳が新しいからだけではないと思う。外国の話だから多少昔の話でもあんまり昔と思わないっていうのと、まあ自動車とか電話とか出てくるし…それに何より、話が面白いから気にならないんだよね。
山崎まどかさんの解説によると本書表題作の初出は1966年に出たこの本と同名の短篇集で、収録作品は違うらしい。今回のと同じ短篇集の原書"Don't Look Now and Other Stories"が出版されたのは1971年とのこと。
表題作は映画「赤い影」(1973年)の原作だそう。
5編収録、いろんなタイプの話があって、面白かった。

以下は白紙で読みたい未読の方はスルー推奨。
内容にふれつつ感想コメントを書いています。

【目次】
いま見てはいけない
最後まで読んで、あっ、と思ってストーリーが頭の中を逆走する。あのとき、あの行動をとらなければ。でもそもそもがあれは。などといろんな思いが錯綜する。こういう、主人公が気を揉んで、うまくいかなくて焦る話でしかも最後の展開。まー…救いが無いこと。でもこの旦那さん、最初は良かったのに奥さんと離れてからちょっと偏執狂っぽかったので怖かった。

真夜中になる前に
なかば予想を付けながら読んでいって、王道なんだけど、でもやっぱり「そうきたかー」という驚き要素もちゃんとあって、あと、単なるミステリーにはないあやしさとか不気味さとかもある。旅の地であるという浪漫もあるかな。

ボーダーライン
これもメインのどんでん返しは途中で「それしかない」から気付くんだけど、でも切ないというか残酷というか。主人公の母親への嫌悪感が繰り返し出てきてちょっと違和感があったんだけどまあそれも無意識の…という伏線だったのかなあ。うーん。「どうして正直に言っちゃわないの」と何度か思ってしまった、わたしならこんな何回も嘘つくの無理だわ。

十字架の道
これ、クレイグ・ライスの本で読んでたら間違いなくドタバタ・コメディ・ミステリーとして気楽に楽しめるだろうになあ、この旅先でのトラブル続きの群集劇。デュ・モーリアなのでちょっとドロドロしてたり毒やパンチがきつい。幼い少年がくるくる動いて微笑ましくなるところをまたどえらい爆弾を落とす役回りにしたりして…。新婚旅行であの妻の言動は有り得ないと思うんだけど、いったいどういう経緯でどういうつもりで結婚したの? って感じ。
でもまあ、みなさん無事でよかったわ、ほっとしたわ。

第六の力
まさかのSF-! そしてホラーチック要素もあり。お話としては面白かったけど、発達障害についての書き方とかが……大丈夫なのかこれって首を傾げざるを得ないのだけど、1971年出版の本だから仕方ないのだろうか。
死後について扱っていて、怖くて、不気味。でも研究所のひとたちが予想以上に良いひとで。犬も可愛いし。
頭の中に映像を浮かべると、研究所周辺の建物の描写とか、すごく独特。
主人公たちが少女を救おうとするのを応援しながら読んだので、最後の明るい笑顔とダンスに嬉しくなった。

なんでセールに上がって来たかというと先日デュ・モーリア短篇集がまた新たに出たからですね。

人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)
ダフネ・デュ・モーリア
東京創元社
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