2016/12/22

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇

kindle版
■池上彰
12/17の日替わりセールで¥199で購入。
池上彰の東工大講義シリーズ第2弾。
(第3弾学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇』の感想はこちら
2013年3月文藝春秋社単行本刊、2015年7月文春文庫刊の電子書籍版。

やっぱり池上さんわかりやすいなー。というか、面白いんだよね。なんでこんなに面白いのかなあ。
テレビのニュースやなんかで見聞きして漠然と知っていること、でも学校の授業では習ったことがないこと。
時系列順に、系統だてて説明してくれるから、頭の中で整理整頓されてすっとおさまる。

たとえば学校紛争のこと。
そういうことが「あった」っていうのは先生とかがたまに発言するので知ってるけど、いまは政治家とかがアホなことしてもみんな何も行動を起こさない。なんで昔の学生はそんなに団結して行動できたのかなあ、と、わたしが大学生だった頃(もう随分前だ)ですら不思議に思っていた。いまの学生は無気力で、昔の学生は活気があったのかなーと。
Lecture12 全共闘 1968年、なぜ学生は怒り狂ったのか」の章で池上さんの言葉を拾ってみると、
いまでは考えられない意識ですが、これが当時の空気というものでした。
当時は、ごくささいなことでも学生たちが怒っていたんだね。なぜあんなに皆が怒っていたのか。いまとなっては追体験できないけれど、それが、あの時代の空気だったんだ。
【(当時は)大学生は、まだまだエリート。世の中の矛盾に目が向き、なんとか現状を改革したいという正義感を抱くようになります。しかし、その多くは、ひとりよがりの行動でした。これが、さまざまな反乱を引き起こしたのです。
そして最後に
いまになってみると、なぜあんなことが起きたのか、理由がつかめません。1968年(昭和43年)前後に世界で同時的に発生した学生の反乱。その分析は、現代史のひとつの課題でもあるのです。
と締めている。
つまり答えはわからん、と。えー。
また、「文庫版あとがき」で
現代史を若者に教えるのは、むずかしいものです。教える側にとっては、1960年代の高度経済成長や学生の反乱、バブルの発生と消滅は、まさに私が体験してきた「現代の出来事」でした。
ところが、私の話を聞く学生にとっては、「遠い過去の歴史」でしかありません。
(中略)
でも、そうした冷めた分析は、いまだからこそできること。当時は、学生も大学側も真剣だったのです。これが歴史評価のむずかしさでしょう。
歴史的な出来事を、現代の視点から斬って捨てることは容易ですが、それでは歴史から学ぶことはできません。
とも書いている。
渦中にいたからわかる「空気」を体験していない者に論理的に伝えるのは難しい。
もっと後になったら、「答え」が出てくるのでしょうか。
まあある種の「流行」だったんだとは思う。「正義感」で「高揚」してたんでしょう。でもそんな「空気」で人が死ぬまで行っているのがものすごく恐ろしい。
やっぱり歴史は知らないと、学ばないといけませんね。

【目次】
はじめに なぜ「現代史の学び方」なのか
Lecture1 原子力 事故からわかる「想定外」のなくし方
Lecture2 復興 どうやって敗戦の焼け跡から再生したのか?
Lecture3 自衛隊と憲法 「軍隊ではない」で通用するのか
Lecture4 政治 55年体制から連立政権ばかりになったわけ
Lecture5 日米安保 米軍は尖閣諸島を守ってくれるのか?
Lecture6 エネルギー エネルギーが変わるとき労働者は翻弄される
Lecture7 韓国 “普通の関係”になれない日韓の言い分
Lecture8 教育 学校では教えない「日教組」と「ゆとり教育」
Lecture9 高度成長 日本はなぜ不死鳥のように甦ったのか
Lecture10 公害 経済発展と人の命、どちらが大事ですか?
Lecture11 沖縄 米軍基地はどうして沖縄に多いのか
Lecture12 全共闘 1968年、なぜ学生は怒り狂ったのか
Lecture13 国土計画 日本列島改造は国民を幸せにしたか
Lecture14 バブル アベノミクスはバブルの歴史から学べるか
Lecture15 政権交代 なぜ日本の首相は次々と替わるのか
あとがきに代えて 失敗の歴史から学ぶこと
文庫版あとがき