2016/11/08

木曜組曲 【約17年ぶりの再読】

木曜組曲 (徳間文庫)
木曜組曲 (徳間文庫)
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徳間書店 (2014-05-14)
売り上げランキング: 28,631
kindle版
■恩田陸
初めて読んだ恩田陸は『木曜組曲』だった。
1999年11月徳間書店刊。
書評誌「本の雑誌」で取り上げられていて興味を持ったのがきっかけ。
数年後ホームページで恩田陸についてのコメントを書くときに、【そのしっとりした、女たちの静かな戦いに「こういうミステリーもあるのか」と衝撃を受けたことを今でも覚えている。】と記したのがパソコン内に残っている。
単行本は何年か前に処分してしまっている。
内容については「女の人4人くらいだけしか出てこない」「面白かった。良かった。」という感覚をぼんやり覚えているだけで、ほぼ忘却の彼方。題名キレイですよね~。恩田陸はタイトル付けが昔から上手いんだよな~。

今年の7月のkindle月替わりセール対象品になっていて、ぎりぎりまで迷って購入だけしてあった、のをようやく今朝から読みだした。うーん、見事に忘れているなあ! 読んでいてもほぼ既読感無し(17年前の既読なんて初読みと同義語か。)
いざ読みだしたらやっぱり面白くて読みやすいしミステリーなので先が気になる。というわけで、昼休みと帰宅後読書であっというまに読了。うーん、エンタメだなあ。久々に恩田陸読んだけど、このひとお話考えたり書いたりするの大好きなひとなんだなあ、ということをしみじみ感じた。あの最終部のこれでもかの畳み掛け。こういうのを読むとわたしはパン作りの最初の工程を連想する。丁寧にこねればこねるほど、美味しいパンが出来る。ひっくり返し、こね、生地を引き伸ばし、たたきつけ、伸びた生地をまたたたんで、こねる。こねる。こねる。
…ちょっとしつこいかな? って思わないでもなかったけど。

この話は舞台が「うぐいす館」という1軒の家の中で完結し、登場人物は女性ばかり5人だけという、非常に伝統的な「本格ミステリ」的な作りをしている。それがまず素晴らしい。4年前に亡くなった、多くの熱心なファンを持つ小説家、重松時子をめぐる5人の女たち――。
4年前の時子の突然の服毒死は、遺書が見つかったこともあり、自殺として処理された。
だが、それは果たして真実だったのか――?
というミステリーだ。
こういう、「過去の事件の真相を探る」というのも黄金期にもよく見られる王道ミステリーですね。
4人のお客はみんな健啖家で、よく食べる。食事シーン、メニューなども読んでいて楽しい。

本格ミステリ好きのツボをよく心得ていらっしゃるなあ、面白いなあ、と心ゆくまで愉しめた。
ちょっと気になったのは、複数がいっぺんに会話するシーンで誰が喋っているのか意味がある場合はもちろんきちんと書き分けているのだけど、本当に雑談の場面では全員が女性言葉で同じように喋るので誰が喋っているのかわからないこと。まあ、区別する意味がないから区別していないのかなと思うけど。無駄にモノローグが長いなー冗長だなーというのも時たま気になったかな? 全体としてそんなに長い小説ではないけど。

登場人物は
重松時子(故人。作家。)
綾部えい子(時子の元同居人。料理が上手い。経験豊かな敏腕編集者だが、物語のほとんどでは家政婦とか料理人の印象が強い)。
重松静子(時子の異母妹。父親の会社を手伝いつつ、小さな出版プロダクションを経営している。)
塩谷絵里子(静子の母の妹の娘。ノンフィクション系のライター。)
林田尚美(時子の弟の娘。主婦かつ、ミステリーなどエンタメ系の売れっ子作家。)
杉本つかさ(尚美の異母姉妹。歯科技工士兼純文学作家。)
…モノを書く人たちだからこその筋立てになっているのです。