2016/10/07

神も仏もありませぬ

神も仏もありませぬ (ちくま文庫)
佐野 洋子
筑摩書房
売り上げランキング: 4,619
kindle版
■佐野洋子
2003年11月筑摩書房より単行本刊、2008年11月ちくま文庫、の電子書籍版。

佐野さんのエッセイを読むのはたぶん2冊目なのだが、以前読んだのは前すぎるのか感想を書いた文章は残っていない。だが感触だけは覚えていて、それは「みんな大絶賛なのにわたしはこのひととあんまり合わないなー」ということだった。
先日kindleの日替わりセールで上がってきたので、久しぶりなので違う感想になるかな? と思って見たけど読んだら驚くほどおんなじような結果となった。でも読んでられない、とかそういうのは無いんだよね。
「えーこのひと何言ってんの」「えーそんなこと書いちゃうのって信じられん」と何度か驚愕しつつも一方で「ああ、なんて正直なひとなんだ」とずっと感じているからかもしれない。
自分の感情のままに生きている動物みたいな、って思うけどまあ社会的な人間なので決してそれだけな筈はないことくらいわかっているんだけど。佐野さんの書くエッセイを読んでいるとそういう気持ちになってくるってだけ。

それに読んでいるとやっぱり単純に、エッセイとして面白いんだよね。かなり。
やっぱりこれだけ正直というか自分の考えていることを素直に書いて、合うことも、合わないこともあるけれど、基本的にはこのひとは他人を馬鹿にしたりはしていないというか、まあ嫌いなひとには嫌い! って言うひとのような気がするが、そのぶん好きなひとや大事にしたいひとを本当に大事にするひとだと思う。

リアルに会ったらどうだったんだろう。もしこのひとが自分の母親だったなら、と仮定したら裸足で逃げ出したくなるが。
Amazonのみなさんのレビューをざっくり見ただけなんだけど、可能性として、このエッセイの佐野さん(60代半ば)くらいになったら共感度が違ってくるのかな。……。どうでしょう。わからんな。

長嶋有のエッセイや小説には佐野洋子さんや佐野洋子さんがモデル?と思ってしまうひとが出てくるが、この本に収録されている「山のデパートホソカワ」には最初に長嶋有のお父さんが出てきて、それから長嶋有も出てくる。お父さんが長嶋さんを「ユウくん」と呼んでいるのを初めて読んで、「うわっ、ユウくんだって」とニヤニヤしてしまった。佐野さんから見たらこんな感じだったのね。『猛スピードで母は』の表紙を描いたいきさつってこんな感じだったんだ。へえ~。
長嶋親子が出てくるだけじゃなくて、ここで取り上げられている調剤薬局にして山のなんでも屋さんみたいなお店のことがすんごく面白くて、この章だけ3回も読んじゃった。

あと特に面白かったのは
ありがたい」アライさん夫婦讃歌、奥さんが特に良いなあ。
虹を見ながら死ね」ペンダントライトわたしもそういうの好きだから読んでいるだけで羨望の眼差し…。もったいなすぎるぅ!
納屋、納屋」こぶしの大きな木の移植の話。結局「ついた」のかなあ。気になるわー。
謎の人物「ハヤシさん」」佐野さんの作った参鶏湯は結局どうだったんだろう。ご本人が大満足だからいいか。朝鮮人参を買う電話のくだりとかすごく面白かった。

目次に好きなのに★を付けておく。それにしても「そういう事か」「そうならいいけど」「じゃ、どうする」なんて、ひどいエッセイタイトルだなあ、内容を題名だけ見ても思い出すとっかかりが無い。同じような感じなんだけど「それは、それはね」はこのエッセイを読んでみるとなるほど、そういう状況で出てきた心からの思いか、とすごく納得する良いタイトルだと思うんだけど。

【目次】
これはペテンか?
ありがたい ★★
今日でなくてもいい
虹を見ながら死ね ★★★
声は腹から出せ
フツーに死ぬ
そういう事か
それは、それはね ★
そうならいいけど ★
納屋、納屋 ★★
フツーじゃない ★
じゃ、どうする
何も知らなかった
山のデパートホソカワ ★★★★★
出来ます
他人のウサギ ★
謎の人物「ハヤシさん」★★★
金で買う
あとがきにかえて

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)
佐野 洋子
講談社
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