2016/10/29

デラックスじゃない

デラックスじゃない (双葉文庫)
マツコ・デラックス
双葉社 (2016-06-16)
売り上げランキング: 15,913
kindle版
■マツコ・デラックス
2014年6月双葉社刊の単行本の電子書籍版を「買おうかしら~(興味あるわ~)でも単行本価格出して買うほどではないというか…」と迷っていたのがいつのまにか文庫化&文庫価格電子書籍化していた(手持ちの発行日は2016.8.31になっているけどAmazonだと2016.6.16なのは文庫の発売日ってことかしら)のに気付いて購入したわ。

読んでの感想としては、まんま、テレビで観る印象・イメージどおりのマツコさん、って感じだったわ。気軽に読めるし、面白かったわよ。
「文章で読むとイメージ違ったわ~」とか全然なかった。
でも正直、
「あれ? マツコさん雑誌の編集のバイトとかされてた過去があったり、いろんなポリシーがおありのような生き方されているわりに文章は全然こだわっていないというか正直全然……なのね」
と少しガッカリしてしまったのも事実よ。
タレントさんの書かれた本を読むのははじめてじゃないけど、あのマツコさんだから、もう少し何か、深い知性を覗かせる文才を期待してしまっていたのね。
「でもまあ、マツコさんがふだん言ってるスタンスのままだし、マツコさん好きだし、内容は気軽に読めるし悪くないし」
と自分に言い聞かせながら最後まで読んで、びっくりしたわ。
「2016年の世迷いごと。」は小社月刊誌『EX大衆』2014年8月号~2016年6月号に掲載された連載「マツコ・デラックスの売られてないけど買い言葉」に加筆・修正をしたものです。また本書は語り起こしです。
なんて書いてあるじゃないの。
「2016年の世迷いごと。」っていうのは「文庫化によせて」として「おわりに」の後に収録されている一章分で、まあ、よくある文庫化に際してのボーナス・トラックみたいなものね。これは月刊誌に連載されたものである、と。まあそれはわかるわよ。問題はその後よ。
本書は語り起こしです。
語り起こしなんて言葉、寡聞にして初めて聞いたので思わずググってしまったわ。どうやらまだ新しい言葉のようね。
「書き下ろし」は作家が雑誌連載をせずにいきなり単行本として発表すること。
ひとが話したことを文字にするのを「活字に起こす」と言うわね。
このふたつをあわせたような意味らしいわ。
つまりマツコさんが書いたわけじゃない、ってことなの。

どぉーりで魂の抜けた文章だったわけよ!!!(超納得したわ。)

誤解しないで欲しいのだけど、マツコさんを責める気は一ミリも無いわ。
責めるとしたら本書担当の編集者ね。あと「起こし」た人物にも「もうちょっと、神経つかってもよかったんじゃないの」と言いたくはあるわね。
ところどころ雑なのよ。具体的にいえば、実際にあった出来事について触れるときにウィキペディアから引用したような説明くさい文章がものすごくくだけた話し言葉の中にいきなり放り込まれているのが何回かあって、そこだけ明らかに浮いているのね。
まあ、こちらが細かいこと言っているのは百も承知よ。
気にしなければ気にならないレベルなのかもしれないわ。でも、
「素人くさいわね~。まあ、マツコさんはプロの文筆家じゃないから仕方ないのかしら」
って読んでる最中思っちゃったのよ。
あたしはマツコさんが好きだから「仕方ないのかしら」なんて彼女に対して思いたくなかったわ!
それなのに最後の最後のページを読むまで誤解してしまっていたのよ!
あなたたちがマツコさんのこと愛してこの仕事を大事にしていたらこの程度の直し入れることは簡単に出来たはずよ。
だっていままで口述筆記(語り起こしなんて言わなくても昔からちゃんとある言葉よ)の作品や、対談・鼎談の記事を読んだことが何度もあるけれど、みんなきちんとしていたもの。
マツコさんの名前を使うんだったら、彼女の価値を貶めないようにちゃんと仕事してよね!
と言いたいわ。

内容は、ふだんテレビで全部観ているわけじゃなくて、ほんの一部しか知らないけれども「マツコさんって『毒舌』とか言われているけどすごく常識家でマナーもきちんとされている方ね」って思っていたそのとおりのことが書かれていたって感じよ。
あんまり年齢も変わらないので、世代的に共感しやすいっていうのもあるのかしら。例えば、ネット社会、SNSについての感覚とか。でも彼女はネットで批評される対象にあるから、より感性が鋭くなっているなとは思ったわね。
印象に残ったことは、なんとなく彼女は自分の体形を変えたいとか思っていないと勝手に思ってしまっていたので、たびたびダイエットに挑戦されている、というのは少し意外だったわ。でも確かに、スタイル云々じゃなくて、体調や健康上、生活していくうえでの不便さとかがあるわけね。マツコさんには長生きしてほしいから、そこはご自愛いただきたいと思ったわ。
それと、趣味がない、というのも意外というか……逆に何故そこまで「趣味に至らない」で終わってしまうのかがわからなかったわ。
仕事がきちんとあるし、生活に困っていないし、でも【ここんとこ、ずっとテレビ局と自宅マンションを往復するだけの日々ね】というつぶやきが何度か出てくるんだけど、その気持ちはわたしも覚えがある、と思った。というか、たぶん多くの人がそれで趣味や恋愛に時間をかけるんだと思う。でもマツコさんの場合、いままでの人生で満足感を得たことがあまりなくて、あるとき脳科学の先生から「もともとあるはずだったDNAが1つない」から説(そういうひとは「食」に走るから肥満になりやすい)を聞いて納得していて、マツコさんが趣味やペットにハマれないのはそういう影響があるのかもしれないわね。まぁ、どこまで本当か、よくわからないけれど…。

今回の感想は本書の文体にあわせてオネエ言葉で通してみたわ。読みにくかったり不愉快だったらごめんなさいね。

【目次】
はじめに ~ずっと迷って生きてきました。いまもまだ迷っているんです~
第一章 生来 ~いまのアタシを作った出来事~
流されて四十年~マツコの半生略歴 A面~/モラリストのDNA~エアコンと二槽式洗濯機と両親と~/女装のはじまり~初めての口紅、思春期のポスター~/マツコが思うマツコ~差別されてるから笑われてんのよ!~
第二章 懺悔 ~編集者・文筆家・タレントとして爆走後~
編集者マツコの全力疾走~ゲイの闘いIN高知~/破天荒コンプレックス~文筆家時代のウソ~/一生の不覚~思い込みという視野狭窄~
第三章 怠惰 ~変わらない私生活~
超自堕落にて四十年~マツコの半生略歴 B面~/無欲な食欲~デブはビールを飲んでも酔いません~/夜更けの縄跳び~リバウンド尽くしのダイエット~
第四章 趣味 ~地味すぎる息抜き~
体重のせいでベッド破壊~大塚家具探検に行く~/ジオラマ&MAPに釘づけ~森タワーで働きたい~/伝統芸ハロプロ鑑賞~日本を歌うアイドルにくびったけ~
第五章 覚悟 ~電波芸者の意地~
アタシがテレビを選んだ理由~いい加減さにぴったりハマった~/安っぽい正義感なんてクソ喰らえ~振り向けばネット住民~/生涯ケンカ宣言~制約とギリギリのせめぎ合い中~/テレビへの恩返し~午後11時台こそ新ゴールデン・タイム~
おわりに ~アタシの人生は旧時代のメディアと一緒に没落していく~
文庫化によせて 2016年の世迷いごと。