2016/10/20

夫婦で行くイスラムの国々

夫婦で行くイスラムの国々 (集英社文庫)
清水 義範
集英社
売り上げランキング: 80,649
kindle版
■清水義範
初出「すばる」2005年7月号~2008年4月号に加筆修正、新たにコラムを付け加えたオリジナル文庫2009/8/20刊の電子書籍版。
パスティーシュ、『おもしろくても理科』シリーズほか多作の作家、清水さんが奥さんとイスラム国家を1年に1回のペースで旅した旅行エッセイ。

作家が書いた旅行エッセイというと編集者やカメラマンと企画ありきで独自旅行をして、というのが多いが本書は清水家の家族旅行(インド)からはじまってほぼ毎回旅行会社のパックツアー。旅も終盤になってからようやく連載の話が来て「仕事」になった。まあ、最初のトルコ旅行は旅雑誌の写真企画で行ったものだけど、その時はまだ単なる単発の旅行だったわけで。

清水氏は1947年(昭和22年)生まれで、旅行はほぼ50歳代のこと。途中で2001年9月のニューヨーク同時多発テロが起こる。

地図が無い(アマゾンの文庫購入者さんのレビューにもあった)のはちょっと不親切かなあ。kindle版なので写真はモノクロ。
清水夫妻が行こうとした以下の国々は希望者が少なく、ゴールデンウィークや夏休みくらいでないと旅行会社のツアーの規定人数が集まらないため、その時期の旅行ばかりになったとのこと。2016年現在では危険度が高いが当時でも紛争やテロがあったので周囲のひとに「そんなところに行って大丈夫ですか」と心配されたとのこと。
パックツア―を利用している理由は手軽で便利だからで、本書に出てくる場所はメジャーなところばかりである。しかも、脱線が無い。50代夫婦での旅行なので落ち着いているし羽目も外さない。トラブルもプチトラブルも無い。
正直、旅行エッセイとしてはあんまり面白くない部類かもしれない。
本書のいいところは、清水さんがほぼ予習なしで旅行に行き、現地でナマで自分で見聞きして感じ取った直観や感覚、だんだん馴染んでいく過程などが書いてあるところだ。奥さんと旅先で感じたことなどを話し合っている。良いご夫婦だなあ。本書の写真は奥様によるもの。

文中でしばしば「イスラム教徒が多くを占める国」くらいの意味で「イスラム国」という単語が出てくる。いまとなっては全然意味合いが違ってしまっていますね。
本書を読んだのはamazonの日替わりセールで上がってきて、昨今のイスラム関係の事件とかを見ていて「イスラムのこと、全然知らないなあ…」と思っていたので。
でも本書を読んでイスラムのことが理解できたかと云うとうーん。
むしろ本書で書かれているイスラムの国々の様子と、一部の集団がやってるテロとかの乖離に戸惑いが増すばかりというかなんというか。

いろんな意味で「このころはパックツアーで行けたんだなあ。早く平和になると良いなあ」と何回も思ってしまう本だった。

目次に、著者が訪れた年月などを追記。
序の章 インド―イスラムの幻影
インドに3回行った件。
①1988年3月末から4月頭(著者40歳にして初めての旅行。著者の妻の母親が企画したツアー)
②1989年11月(旅行会社のツアー、以下「ツアー」。)
③1995年末~1996年正月(南インド。ツアー。)
オアシス・コラム(1) 水のこと
第一章 トルコ―文明の十字路
トルコに2回行った件。
①1996年11月(日本航空の機内誌の仕事。イスタンブール。アヤ・ソフィアを見て感動する。)
②1998年夏休み頃。ツアー。
とにかくトルコは食べ物が美味しくて親日で良い、という内容。
オアシス・コラム(2) お茶、コーヒーのこと  
第二章 ウズベキスタン ― 内陸シルクロードの旅
1999年ゴールデン・ウィーク(以下GW)。ツアー。  サマルカンド、タシケントなど。
オアシス・コラム(3) 料理のこと  
第三章 イラン ― ペルシアの残像
2000年GW。お酒の飲めない国。女性はスカーフ必須の国。  
オアシス・コラム(4) 酒のこと  
第四章 レバノン、シリア、ヨルダン ― 三つの宗教のふるさと
2001年5月。シリア、ヨルダン、レバノンのアラブの3か国を巡るツアー。  
オアシス・コラム(5) ベールのこと  
第五章 チュニジア ― カルタゴとサハラ砂漠
2002年8月。ツアー。  
オアシス・コラム(6) モスクのこと  
第六章 東トルコ ― 聖書と民族問題
2003年8月。 ツアー。 
オアシス・コラム(7) バザール、スークのこと  
第七章 モロッコ ― 迷路の国
2004年8月。ツアー。カサブランカなど。
オアシス・コラム(8) 道のこと  
第八章 エジプト ― ナイル川にアザーン
2005年1月。 ツアー。イスラムの味わいを求めて。 
オアシス・コラム(9) 土産物のこと  
第九章 スペイン ― 太陽の国のレコンキスタ
2005年9月。ツアー。 メスキータを見に。旅の最終地として。 
オアシス・コラム(10) トイレのこと  
追補の章 イエメン ― 摩天楼都市の国
2007年9月。ツアー。初めてのラマダン中の旅行。