2016/10/18

読めよ、さらば憂いなし

読めよ、さらば憂いなし
読めよ、さらば憂いなし
posted with amazlet at 16.10.18
松田 青子
河出書房新社
売り上げランキング: 228,701
■松田青子
単行本。紙の本。2015年10月刊。
装丁が可愛いな~と思って確認したら名久井(直子)さん。ははっ、やっぱりね。もうね。
装画は佐藤香苗さん。
書評集。
巻末の初出一覧を見て驚いたのだけれど、まあいろんな媒体に載っているのだけれど、本書所収の中で一番掲載が多い、最初に上がっているのが「女性自身」なんデスね。「女性自身」って週刊誌ですよね。あれに書評とか載ってるんだー。正確にいうと、光文社「女性自身」書評「女自身の週間書評」「読めよ、さらば憂いなし」2013年4月23日号~2014年4月29日号、「続・読めよ、さらば憂いなし」2014年6月3日~2015年10月6日号。
そのほかはざっくり拾うと「図書新聞」「群像」「波」「早稲田文学」「ユリイカ」「母の友」「すばる」「エル・ジャポン」「飛ぶ教室」「GREAT CINEMA」「BIRD」「CREA」「Coyote」等。

とにかくセレクトが良い。そしてなおかつ、とりあげた作品数が多い。

選んである本を見ていくだけで、おーなんだかセンスが良いなあ~という感じ。未読のものが多いんだけど、書評誌で見掛けたりして気になっていた本とかが何冊もあり、松田さんの書評を読んでその本の存在を思い出し、ものすごく面白そうに書いてあるので読みたい欲求が高まる。あと、スタンスがくっきり立ち上がってる。このひとが書評を通して何を言いたいのか、セレクトを見ているだけですごくよくわかる。
書評といっても硬い調子ではなく普段着のトークといった雰囲気であり、エッセイのようにも読める。ひととなりというか、松田さんがどういう十代を過ごしてきたのかとかの情報も得られる。英語が好きで、親戚がアメリカにいたりして、英語に親しむ環境があったんだなあとか、あ、やっぱ留学も高校生とかでけっこう長い期間行ってらしたんだとか。
もちろん、気軽なようで、実は隅々まできちんと練り上げられた文章。例えばそれぞれの文章の冒頭部分だけを見て行ってもその洗練がわかる。「あー出だしから上手いなー」と唸らされる。

1つ1つの書評に本のタイトルだけでなく、書評のタイトルが付いていて、それがばばん! と書評の主題を示していたりして、タイトルを眺めているだけでも結構面白い。
「雑」と書かれた箱に入りたい(『かよちゃんの荷物』)
さよなら、なんて言わないで(『さよなら、韓流』)
現実を直視できない女たち(『春にして君を離れ』)
かかりたくない魔法(『ラーメンと愛国』)
現代のハッピーエンド(『にこたま』)
わたしは覚えている(『ぼくは覚えている』)
後戻りできない物語(『厭な物語』)
一生ブレなかった人(『家と庭と犬とねこ』)
女子の調整力(『王妃の帰還』)
ダメをみがく幸福(『ダメをみがく』)
……などなど。

1つの作品に見開き2ページの書評。
漫画もあるし童話もある。
後半には映画やテレビドラマ評も結構ある。
ほんとにたくさんあるなあ。全部でいくつかしら。
ざっくり数えたら目次の項目で99ある。そのなかには「2010年12月の読書日記」「2011年1月の読書日記」「2011年2月の読書日記」「2014年1月の読書日記」も含まれていてこれは数冊ずつ紹介されている。
項目ごとの佐藤さんの挿し絵がテレビ見ているひとの絵なのはその回はドラマとか映画とかの感想がメイン。
でも目次見ているだけでは区分されていないんだよね……タイトル見ただけでは1回読んだきりだと覚えていない。
まーざっくり映画は10くらいかな。テレビドラマ「すいか」とかね。松田さんが「すいか」にハマったひとりだというのは物凄く納得出来るなあ。

本書巻末には2つの対談記事も収録されていてこれがまた豪華というかツボをついているというか。
柴田元幸×松田青子 ヘンな本の話をしましょう。
→翻訳を絡めて。それぞれ5冊ずつ翻訳書を紹介しつつおすすめしつつ。楽しい。
山崎まどか×松田青子 百合子は百合子であり百合子であり……――唯一無二ということ……
→武田百合子について語る。武田百合子読んどいてよかった。