2016/08/08

侠飯

侠飯 (文春文庫)
侠飯 (文春文庫)
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福澤 徹三
文藝春秋 (2014-12-04)
売り上げランキング: 1,422
kindle版
■福澤徹三
昨日の日替わりセールで¥99だった。ふだんは¥629で125pt。ヤクザはやだけど任侠ものに出てくる兄さんたちはフィクションなので必要以上に義を重んじる良いひとだったりして小説として読む分には面白いことが多いし、料理がテーマっぽいのでダメ元で読んでみた。
さっくり読める、爽やかな読後感の青春小説だった。
これは、主人公が就職活動真っ最中の大学生の青年だからだ。
このタイトルからは想像できないがある意味「就(職)活(動)小説」としても読めるだろう。
大学1年とか2年とかで読んでおくとちょっと気持ちの持ちようとかに参考になる、のかな?
ある意味、ミステリーでもあるけどそれは兄さんたちの正体が謎なのが最後に判明するという「謎」があるからで、いわゆる推理小説とか探偵小説ではない。

料理は、期待していたよりも基礎・基本、当たり前のことが特に前半に多くて、メニューも少なかったが、まあ、この兄さんが食事を大事にしているところはすごく伝わってくるので良いと思う。あんまり凝った料理はしないわりに調味料にこだわってることとか、男の料理って感じだなー。ネットでお取り寄せするんだもん。あと、辛い料理が好きなんだね。ウェイパーはたしかに便利だけど料理の小説でこんなに頻出するとかちょっと意外だな。

っていうか22歳の一人暮らしの大学生がお米もまともに炊けないというのはヒドいなあと思ったけど、男子学生ってこんなものかなあ、最近は男子も中高で家庭科教わるでしょう? いきなり電気釜で研ごうとするとかそれ以前の問題のような気もするが。浸水時間のことも頭にないとは(最近の炊飯器は浸水しなくてもすぐ炊ける機能があるけどそういう問題じゃなく知識として、その必要性も知らなかった)。

たぶん、この小説に書いてある料理を普通の日常で出してもこんなに感動して食べてもらえないような気がする。シチュエーションとか、お腹の空き具合、へろへろになったときに出てくる「ごく普通の美味しさ」が与えてくれるパワーとかが根底にあるような。疲れているときにお味噌汁、炊き立てのご飯、ぐっときますよね。

主婦の作る「ごはん」的なものっていうよりはたまに料理をする男性がちゃちゃっと作った酒の肴、という感じ。毎日こういう感じでは野菜が足りないわーとか味付け濃いわーとかいろいろ問題ありそう。
特に3話に出てくるおもてなし料理は料理の腕っていうよりはお取り寄せの素材が勝負って感じだ。ハレの日にはアリかもだけど。そのへんのスーパーで買えるものじゃないとあんまり参考にならないなあ。
基本的に美味しそうな料理ばかりなんだけど、第4話に出てくる刑務所飯はさすがに真似したくない。美味しいのかなあ…。9話の冷や飯に冷酒もちょっと無理。お酒が好きな男の人にはぐっとくるのかなー。

問題の任侠問題にも最後すっきりする解決が待っていて、いささかほっとした。
どうやらシリーズ化してるらしい。

目次
プロローグ 就活と抗争
1 オイルサーディンとカマボコとリンゴとネギでなにを作るか
2 チャーハンはパラパラじゃないほうが旨い
3 クリスマスイブにチキンはいらない
4 ゴミ袋とレンジで作る刑務所の飯
5 ステーキはA5ランクよりスーパーの特売品
6 レトルトカレーがフライパンひとつで絶品になる
7 食べもので性格が変わる
8 殴られた夜のソウルうどん
9 飯は冷やに限る
エピローグ この世でいちばん旨い飯