2016/06/18

怪盗ニック全仕事 2

怪盗ニック全仕事2 (創元推理文庫)
東京創元社 (2015-09-04)
売り上げランキング: 573
kindle版
■エドワード・D・ホック 翻訳:木村二郎
kindleの月替わりセールで¥599でポイントが119ptになっている。大変お買い得。
シリーズ第1弾『怪盗ニック全仕事1』を読んだのも月替わりセールで¥499になっていたときだった。ちなみにこのシリーズ普通に電子書籍で買うと千円以上する。別に『1』を読んでいなくていきなり『2』を読んでも読み切り短篇シリーズだから差しさわりはないと思うので興味を持たれた方は今月中がおすすめです。

価値のないもの、誰も盗もうとは思わないものを対象にした依頼のみを引き受ける怪盗ニック・ヴェルヴェット。
報酬は原則2万ドル、危険だったり困難な仕事は3万ドル。
その全仕事を発表順に配してある文庫版全集の第2弾である。全15篇。
原著発表年は1972年~1977年。

第1弾よりも脂がのってきたせいか、面白く感じた(錯覚かも知れないが)。
第1弾は「盗ませる品物そのもの」にはあまり意味がないケースもあったが今回は全部意味があったなあ。
「石のワシ像を盗め」は「いまある場所で掘るんじゃないの」って思ったけどそうじゃなかったか、ふーん。
全体的な感想としては「みんな気軽に銃を出して脅してくるなあ」ということ。
ニックには10年以上つきあっているガールフレンドのグロリアがいてどうやら一緒に住んでいるらしいが(結婚するとなると職業柄厳しいというのと、一人の女性に縛られず自由に恋愛したいというのもあるのかなあと第2弾でちょこちょこ浮気してるらしいのを読んで思った)、グロリアにも自分が泥棒であることは隠していて、でも家事とか電話の取次ぎとかしてもらっているっぽい。で、仕事柄夜中の電話で急にあちこち出掛けたりするのをいつも「出張」「新しい工場敷地を視察しないといけない」などと言って誤魔化しているんだけど「無理があるよなあ…」とつねづね思っていたら、ついにグロリアに正体がバレてしまった!……かと思ったら、そうではなくて、グロリアはニックの職業をどうやら国家に関わるスパイだと勘違いしてくれた、らしい(「将軍のゴミを盗め」)。でもそのおかげで以降は急に仕事に出ることになっても納得してもらいやすくなったという…。そういえば、スパイも泥棒も家族や周囲に秘密、仕事時間が変則、危険が伴う、など共通点が多いわねえ。

先日読んだ内田洋子『カテリーナの旅支度 イタリア二十の追想』でヴェネツィアが観光するにはいいけど住むにはちょっと…というふうに書かれていたが、本書でもニックがヴェネツィア(本書では英語表記のヴェニス)に仕事で行く話があり、文中に「運河はいつもこんなにくさいのかい?」「夏はね。街全体が腐っているという人もいますわ。」などという会話があり、げーん。まあ、1970年代に書かれた本だけどね…対策とか取られてるのかなあ。

目次
マフィアの虎猫を盗め
空っぽの部屋から盗め
くもったフィルムを盗め
クリスタルの王冠を盗め
サーカスのポスターを盗め
カッコウ時計を盗め
怪盗ニックを盗め
将軍のゴミを盗め
石のワシ像を盗め
バーミューダ・ペニーを盗め
ヴェニスの窓を盗め
海軍提督の雪を盗め
卵形のかがり玉を盗め
シャーロック・ホームズのスリッパを盗め
何も盗むな

怪盗ニックを盗むべからず/木村仁良