2016/06/09

本気になればすべてが変わる 生きる技術をみがく70のヒント

kindle版
■松岡修造
ふだん、こういうタイプの本は(自己啓発本も、タレント本も)読まないんだけど、松岡修造さんがテニス教室で小学生の子らに指導している様子をテレビ番組で観たことがあってそれが印象に残っていた。テニスのことはほとんど知らないけれど凄いプレーヤーの一人だったってことはなんとなく知っている。でもそれよりも最近のバラエティー番組とかで見る松岡さんのキャラクターに「このひとってこういうひとだったの?」とびっくりし、「熱血」「スポーツマン」というだけでは何か語りきれない、独特の、ともすれば笑っちゃうくらいの、もんのすごーいまっすぐな視線と単純なワードだけど芯を突く言葉を心の底から叫ぶように伝えようとするその姿勢に感動した。6/5の日替わりセールで¥199円だったので読んでみることにした。
いきなりこんな本を読んでいるとわたしのキャラでは無いので、「どうしたのか、次はセミナーでも行くのか」とかツッコまれそうだが、別にわたしの精神が弱っているわけじゃない、と思う。しかし生きていると人間いろいろあるのだよ、だからこーゆーのもたまには読んでおくとどこかで役に立つかな? というシタゴコロが無いわけでもないんだよ(何言い訳してんだ)。

テレビで見る、目ぢからと声の張りを抜いて、「読む」松岡修造は予想外に静かだった。叫んでない(当たり前かもしれないけど)。映像で観るのとイメージがかなり違う。でも言ってることは、主張は、おんなじなんだよね、たぶん。

この方は、精神がものすごく若い。柔らかい、と言い換えてもいいだろう。柔軟性があるのだ。実際に松岡さんと会ったことがあるわけじゃないしであくまでも本書を読んだだけの印象なのだが、「若い時に何かを既に成し遂げている」成功者なのに、それを笠に着ないことはもちろん、常に謙虚で、いろんなひとの意見を実に素直に受け止めて、自分なりに噛み砕き、相手を尊敬していることが伝わってくる。これは、誰にでも出来ることじゃないと思う。だから本書には松岡さん流のいろんなアドバイスが書いてあって、それは全然突飛なことは書いてなくて、どれも正論というか、常識的なもの。テレビで観る松岡修造は「唯一無二」な感じがするのでそれを期待して読むと当てが外れたように感じ、「あら、思ったよりも大人しくて普通なのね?」と一瞬思ってしまうが、違うのだ。こういう根本的なことを全部素直に継続できて「俺様」にならない成功者でこの年齢のひと、というのは全然普通じゃなくて凄いことなのだ。
具体的に、「自分の取扱説明書」を書いてみる、とか「メニューを見て五秒以内に注文を決める」とかサブタイトルになっている70のヒントが書かれているんだけど、そしてそれをそれこそ「素直に実践」することは素晴らしいことだけど、それだけではなく、根本的な、松岡さんの「性格の良さ」みたいなところに学べるところ多し! と思う。「本気になればすべてが変わる」というがまず「本気になる」っていうのが難しいんだと思う。

単行本は2009年3月だが、2011年3月の震災を受けて、2011年8月刊行の文春文庫では加筆修正がなされている。それの電子書籍版。
なお、松岡さんは1967年生まれなので、2009年時点で42歳。1998年の現役を退いたときが31歳。テニスを引退されてからいろいろご苦労なさったんだろうな、ということが本書を読んだだけでも想像できた。