2016/05/03

追悼 吉野朔美さん 続き

月下の一群 (ぶーけコミックス)
吉野 朔実
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   この人の絵は私の理想である。
   あの丸ペンの、繊細で美しいまつげ、
   透明感のある瞳、 
   美しい横顔、
   たおやかな女、
   知的な男、
   咲き誇る花、
   木の香りのしそうな家屋。
   どれもこれもが、理想的だ。
   すばらしい。
   ストーリーのミステリアスな展開も、
   絶妙のプロットも、
   心のひだに染み込むようなネームも、
    ……ああでもやっぱりこの絵でなければならないのだ。

   初めて読んだのは
   友人に借りた『いたいけな瞳』だった。
   はっきり言ってこのタイトルはいかがなものか。
   なんかとてつもなく女々しい、媚びを売るかのような
   タイトルで、その印象は正直よろしくなかった。
   が、中身を読んでハマる。

   第1話から、そのコピーのうまさに、
   理想的な絵の美しさに、
   私は虜になった。

   しかしこのぶ~けワイドコミックスというのは
   その当時で既にマイナで
   田舎に住んでいた私には
   入手困難だったこともあり、
   このときはまだ
   借りて読むだけのつきあいであった。

   その数年後、
   購読をはじめた「本の雑誌」で
   偶然にも読書エッセイを吉野さんが描いておられ、
   吉野ワールドに再会。

   いてもたってもいられなくなり、
   当時既に入手が難しかった『いたいけな瞳』をはじめ、
   コミックスを揃えるべく本屋を走りまくる。
   どちらかというと初期のは恋愛色が強く、
   主人公の少女がモテる、というパターンが多いのに対し、
   後期になればなるほど
   ひとひねりした独特の世界になっている。
   後になればなるほど良いというわけでは決してない。
   もう最高峰は極めてしまったのか?


2001年6月に書いた文章【吉野朔実を熱くカタル】を再掲載いたしました。
デビュー作などは読んだことがないので、全集などですべての作品を読めるようにしていただけたらなあと熱く希望するものでございます。
漫画だけではなく『こんな映画が、』などの文章も視点が良いから映画を観る習慣が無くても面白く読めた…。

本当に素晴らしい作家さんでした。
どうもありがとうございました。



こんな映画が、―吉野朔実のシネマガイド
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