2016/05/22

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて (文春文庫)
山内 マリコ
文藝春秋 (2016-03-10)
売り上げランキング: 3,263
■山内マリコ
これはkindle版も出ているけれどあえて紙の本(文庫)で購入した。何故なら、本書はお買い物実録エッセイで、山内さんが買われたもののイラストがカラーで!毎回!描かれているからだ。kindleはモノクロ表示なので…こういうのはちゃんとカラーイラストで見たいというわけで。
イラストは川原瑞丸という方。

初出は「週刊文春」で「お伊勢丹より愛をこめて」2014年4月10日号~2015年8月6日号を加筆訂正。
サブタイトルにもなってるくらいだけど、実際に伊勢丹で買い物をするというのはそんなに出てこない。ネットで購入という記述が一番多い。

最初の項が32歳の著者が「人様の前に出しても恥ずかしくない財布が欲しいと思い始め」→「ブランド財布が欲しい!」とかのたまって、プラダの財布を約9万円で購入した話だったので、自分とは価値観が違うなあと思い、本書は合わないんじゃないかなーとは思ったが、Amazonの読者レビューでみなさん絶賛してるし、高い買い物ばかりじゃなくて庶民派みたいなことが書いてあるので読んでみた。

確かに山内さんはハイブランドの物ばかり買っていなくて、むしろ「必要なものを必要なぶんだけ買う」という考え方で、そのときに「多少高くても長持ちするものを」という基本姿勢で、さらにかなり何度も書かれているのは「30代という年齢に見合ったものを(高くても)買うべき」ということだった。20代は安物でもそれなりに様になるけど30代以上はちょっとね~、というやつである。
山内さんは1980年生まれで、本書連載時は32~34歳くらい。

まあ、なんていうか、いろんな考え方があるし、こういうスタンスがきっと女性では主流派なんだろうなというか、出てくる服のブランドとかがまるっきりアラサーOLさん御用達ラインで雑誌なんかで見る感じと一緒なので「そうか~作家さんだけどあんまり芸術派で個性派ってタイプじゃないんだな~」とか思った。あと名前と顔を表に出す商売ということで「周りの目」がすごく気になるらしい。財布もそうだったけど、ふつうのカードだと「恥ずかしい」からわざわざゴールドカードを申し込むくだりとか……どんだけ…。
でもまあ思えばわたしも30代の頃はもっと洋服や靴や鞄や化粧品に(自分史上的には)お金をつかっていたし、それが楽しかった。
30代というのは20代よりはそこそこお金も稼げるようになってくるし、見目も40代よりはまだまだ「若さ」が残ってるからいろんなものが似合うし、思えば一番買い物が楽しくて実用になる時期、かもしれない。
40歳を越えてしまったいまは楽な方向にどんどん進んでしまっていて……オシャレよりも「身体に楽」「洋服はもうラフな方向で行こう」という思考になってしまっているので本書を読むとなんだかいろいろ「自分はこれでいいのだろうか」と考えさせられなくもなかった。ていうか、35歳とその5年後ではもっと如実に「今まで似合っていたものが着ちゃだめになる」んだよね。今更ハイブランドにお金つぎ込むとかは無いけど、自分のライフスタイルに合って、似合う服で、かつ値段が自分の甲斐性で買える範囲、というものを見つけるのが年齢を重ねるほどに難しくなっていくような気がする。

山内さんの持ち物はわりと回転が早いっぽくて、しかも棄てないで古着屋さんに売ったりなんだりしてるっぽい。例えば、アンティークに凝って「いま部屋にある新品で買ったものはベッドだけ」とかさらっと書いてあるんだけどじゃあそれまで使っていたものはどうしたのかは書いていないんだけど、たぶんひとに譲ったり売ったりしたんだろうなと他の項目からの総合判断で補う。引越がお好きみたいだし。服はともかく家具はな~処分が大変だよなあ、新しいの入れたいけど古いのどうすんの、って絶対なるから。

本書を読んで「これわたしも欲しい」と思ったものは驚くほど少なかったけど、何故かクローゼットの中を掃除(というか手持ち品の見直し)したくなった。安かったものは手放しやすいけど、「これ高かったのに~!」っていうのが難しいんだよね…。売るのもなんだし…。

目次。
行き着く先はプラダの財布/グレーのパーカーは第二の皮膚/椿オイルと馬油クリーム/沖縄のシャイで優しいやちむん/蚤の市で馬、犬、そして猫の皿/ロンシャンのナイロントート/33歳が着るうさぎ柄パジャマ/下着イノベーション/クレールフォンテーヌ原理主義/「冷え知らず」さんの悲劇/トラディショナル ウェザーウェアの傘/スーベニアフロムトーキョー!/すべての靴は不完全である/哀愁の水着デビュー/ちょっとだけ高い本/シャチハタっぽい口紅/CASIOのデジタル腕時計/GUCCIのスウィングレザートート/アントン・ヒュニスのピアスとネックレス/イヤァオ!!!/LITTLE SUNSHINEのタオル/捨ててるようで、捨ててない/白シャツという課題/人生初、アートを買うの巻/ちっちゃい動物コーナー/現代人とユニクロ/「来年の手帳」問題/4Kテレビという暴走/ファッション自分探し/サイズ選び失敗譚/懺悔~試される買い方~/これがほんとの大人買い/マイ・ファースト・アウトレット/猫>アンチエイジング/クリスチャン・ルブタン!/要予約クッキー/きものとわたし/趣味としてのお手入れ/高級バター&バターケース/マイ・ヴィンテージ/完璧な加湿器/ネットで出会いました!/ボタンに魅せられて…/ついに指輪を/お花作戦~雑貨病の克服~/クレジットカード論/ます寿司の…ピアス!/本のバカ買い/オーガニックじゃないとダメなの!/映画の見方/ジーパンの更新/自分だけの部屋/ネイルしない派/モードオフで服を売ること/「ご自由にお持ちください」/ルンバかドラム式か…/温素and more!/馬位草スリッパ/風が吹けば桶屋が儲かる/レインファブスブスの長靴/ハウスオブローゼとは何か/ルンバ愛してる/コーヒーと昭和とわたし/ホテルオークラ礼賛/リトルブラックドレス