2016/05/03

食べる私

食べる私
食べる私
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平松 洋子
文藝春秋
売り上げランキング: 11,442
■平松洋子
これは紙の本。単行本。新刊。
初出「オール讀物」連載の「この人のいまの味」2011年10月号~2015年9月号

本書は「平松洋子の著作」ではあるけれど、いつものエッセイではない。各界のいろんなひとに「食」をテーマに平松さんがインタビューし、それを活字にしたもの、活字に出てくるのは毎回聞き手である平松さんと相手の2人なのだが、「対談」形式ではない。平松さんはあくまでインタビュアー、質問する側というスタンスを貫いておられる。出版社の本書の紹介文には「対話」という言葉がセレクトされている。

最初にデーブ・スペクターさんのを読み、こんなに食べるときに時間効率を気にするひともいるんだなあと驚いた。次に、気になる人・関心のある人のを読んだ。
最後に知らない人や関心の薄い人のを読もうとしたが、最後まで読めるひともいれば、途中でつまらなくて読むのをやめてしまうひとのもあった。
このインタビューは「食」をテーマにその対象者の「人となり」みたいなのに迫っていく、平松さんが選んだ29人のそういう「結晶」を集めて本にすることで何か見えてくるものがあるとかそういう企画なのかな――と思う。

大人になってからの食生活、子どもの頃の食生活。母親の料理。その影響。どういうことを大切にしているか。ふだんどういうことを考えているか――。
「人となり」にこちらが関心がなくて内容的に最初の数ページを読んで興味が引かれないとどうにもならない、というのはあった。平松洋子という聞き手のファンだけど、今回黒子に徹してらっしゃるので。

唯一、他の項とスタンスが違って著者の感情が強く出た書き方をされているのは宇能鴻一郎の回(この回だけ2011年掲載で、初回で、少し離れている。このひとだけ【「官能のモーツアルトと呼ばれたい」宇能鴻一郎と会って】というタイトルになっているし。連載が始まる前の、単発だったのかなあ)。宇能鴻一郎の作品を読んだことはないんだけれど、官能小説を主に書く方で、平松さんのお好きな「濃厚水気色気たっぷり」な作家さんのようだ。ご自宅もびっくりだがご本人登場シーンで燕尾服姿とかもう劇的過ぎるなあ。非日常。

デーブ・スペクターさんはご飯はあくまで栄養を取れればいいというタイプで、出汁とか鍋とかもばっさばっさ切り捨てていってあんまりにも極端なので逆に気持ちいい(でも一緒に生活は出来ないなー)。
ギャル曽根さんの「食べ方をきれいに」というのと「余計なものを摂らせない」という食事管理を尊敬。
松井今朝子さんのキューピー・クッキング中心の食生活に、その徹底ぶりに驚愕。
安藤優子さんの週末常備菜つくりはそのまま真似したい感じ。
ジェーン・スーさんは「らしいなあ」。
堀江貴文さんはさすが常に「時の人」だなあ。
大宮エリーさんについては以前から興味があったのでここでその人となりに少し触れることが出来てやっぱり面白いなあと思った。

登場する29名のリスト章ごとに(目次になっている)。
最後まで読んで面白いとか衝撃を受けたとかプラスマイナス含めてなんらかがあったひとに◎。特に印象に残ったひとに★。
髙橋大輔さんはフィギュア・スケートの方ではなく同姓同名の別人で、冒険家の髙橋大輔さんだった。
それぞれの項に簡単なプロフィールとモノクロ写真が載っている(宇能鴻一郎は写真を載せない方針の方だそうで、なし)。
最後に「食べる私――あとがきに代えて」というまとめ的な一文がある。

「食」について面白いと思った人もいれば、個性的なキャラクター、生き方に興味を引かれたひとなど様々だったが、どうも「平松洋子の著作を読んだ」というよりはワイドショー的な、ミーハー心で読んでしまった感も強くて(だって有名人ばっかりだし)、まあたまにはこういうのもいいけど、という感じだった。

第一章
デーブ・スペクター◎★/林家正蔵◎/ハルノ宵子/黒田征太郎/ヤン・ヨンヒ◎/伊藤比呂美
第二章
ギャル曽根◎/美木良介◎/土井善晴◎/辻芳樹◎/松井今朝子◎★
第三章
安藤優子◎★/ジェーン・スー◎★/渡部建◎/光浦靖子◎/堀江貴文◎★/大宮エリー◎★
第四章
高橋尚子◎/吉田秀彦
第五章
田部井淳子/山崎直子◎/畑正憲◎
第六章
小泉武夫/服部文祥/宇能鴻一郎◎/篠田桃紅◎/金子兜太/樹木希林◎