2016/04/28

ビジネスマンへの歌舞伎案内

ビジネスマンへの歌舞伎案内 (NHK出版新書 446)
成毛 眞
NHK出版
売り上げランキング: 48,340
kindle版
■成毛眞
2014年11月刊の電子書籍版。
例によってAmazonの日替わりセールで¥199と安かったため「歌舞伎の入門書代わりにいいかな」と読んでみることにした。
わたしはビジネスマンではないし、ふつうの会社員である自分に歌舞伎の知識が仕事で役立ちそうだと考えたわけでもない。だいたい「サラリーマンのための」じゃなくて「ビジネスマンのための」ってのがポイントな気がする。最初のほうを読んだところで「この著者ってどういうひと?」と気になったので巻末を見てみたらプロフィールが載っていたがのけぞったね。こういう本を書きそうな歌舞伎関係者や伝統芸能系のひとではなくてバリバリの実業家さんらしい。

NHK出版のホームページから転載。
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒。株式会社アスキーなどを経てマイクロソフト株式会社に入社、36歳で同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社インスパイアを設立。現在は同社取締役ファウンダーのほか、書評サイト「HONZ」代表、早稲田大学ビジネススクール客員教授などを務める。

マイクロソフト株式会社というのは【日本マイクロソフト株式会社】のことで、マイクロソフト コーポレーションの日本法人のことらしい。
すっげー!! 36歳で(日本の)マイクロソフトの代表取締役社長って何者!!?

どうやら純粋に歌舞伎好きのファン、という立ち位置らしい。
他の活動などから、いろんな文化的なことなどで「良い」と思うものを人に勧めるのが大好きな方なのかな、と想像した。
書評サイト「HONZ」というのは知らなかったなあ。

ちなみに歌舞伎を見に行ったことは無いし予定もない。
「歌舞伎を見に行く」そのものにかなりハードルが高かったのであるが(何を着ていけばいいの?状態)、本書を読んで少し敷居が低くなったような気はする。
要するに、
①歌舞伎は同じ話でも役者によって演じられ方が異なる。
②歌舞伎はストーリーを見に行くというよりは、役者を見に行くものである。
ということらしく、それは落語なんかと同じだな。
現代語で喋っていないので初心者は筋がよくわからないとか普通だが、配られる冊子に筋立ては書いてくれてあるらしい。でもそもそも筋は大したことなくって、役者の表現が良かったり、衣装が綺麗だったり、そういうのを楽しめばいいとのこと。

「大向こう」、いわゆる「○○屋!」と叫んだりするのはてっきり贔屓の、ファンの方が言っていると思っていたんですけど違うんですね!(みんな知ってることだったら恥ずかしいなあ)。

もっと歌舞伎から現代日常生活や処世術として具体的に「役立つ」ところを挙げてあるのかと思ったら全然そうじゃなかった。
「ビジネスマンへの」っていうのは著者がビジネスの世界での成功者だから付いてる「飾り」程度に思った方がいいかも。まあ、実際に仕事で外国人に日本の文化を紹介したり説明したりする機会がけっこうある、という方で「歌舞伎についてどう説明したらいいのかわからない」という向きには結構役に立つのかもしれない。

目次を写す。

はじめに

第1章 忙しい現代人には歌舞伎が必要である
・私も歌舞伎がつまらなかった・歌舞伎はビジネスとしても素晴らしい・リタイア世代だけの娯楽にしておくのはもったいない・すなわち歌舞伎は「フェス」である・歌舞伎をわかろうとするのは野暮である・日本人必須の教養としての歌舞伎・忙しい現代人はリラックスできる場を求めている・生涯の趣味としても歌舞伎をどうぞ・歌舞伎がなくなることはない

第2章 知らないと恥ずかしい歌舞伎の常識
・歌舞伎の分類はそのうち覚える・長い演目の途中だけが上演されるのはなぜか・見た目で九割わかる「立役」の性格・総重量三〇キロ以上の衣装を身に纏う「花魁」・覚えておきたい時代物の定番キャラ「赤姫」・野際陽子的存在感で芝居を引き締める「老女形」・視線を独り占めの「女形」in歌舞伎舞踊・歌舞伎に女性が出演することもある・なぜ「大向う」と呼ばれるのか・通に思われたいなら下座音楽を聞け・浄瑠璃は「語る」音楽である・幕を引くのにも実は専門職がいる・ビジネスライクな歌舞伎の世界・歌舞伎とは役者を見に行くものである

第3章 教養として押さえておきたい演目一二
・歌舞伎を語るうえで必須の「三大名作」・知っておいて損はない九演目

第4章 歌舞伎見物をスマートに楽しむ
・歌舞伎座以外でも歌舞伎は行われている・一年の始まりを告げる一一月「顔見世興行」・もっとも華やかに賑わう一月「嘉初春大歌舞伎」・歌舞伎界のスーパースターを偲ぶ五月「圑菊祭」・避暑におすすめしたい八月「納涼歌舞伎」・中村吉右衛門の功績を称える九月「秀山祭」・歌舞伎座の地下にも見所あり・建物の歴史にも思いを馳せよう・イヤホンガイドを借りるのは恥ずべきことではない・上演が始まるまでにネタバレをしておく・舞台に使われているすごい技術・夜の部には夜の部の楽しみ方がある

第5章 ビジネスに歌舞伎を役立てる
・歌舞伎から考える粋な生き方・働き方・舞台はビジネス社会の縮図でもある・ベテラン役者に見る年季の積み方・英語より先に歌舞伎を学べ・ベンツやエルメスよりも歌舞伎はすごい・歌舞伎を本当に役立てるための心構え

コラム①歌舞伎は接待にも使える!?
コラム②着物を着ていかなくてはダメですか?
コラム③歌舞伎の食事はぜひここで!
コラム④歌舞伎座の周囲にも歴史あり
コラム⑤歌舞伎を知ることの意外なメリット

付録 より深く歌舞伎を味わうためのブックガイド