2016/03/03

ヴァイキング、ヴァイキング

ヴァイキング、ヴァイキング【新版】 (創元推理文庫)
シャーロット・マクラウド
東京創元社
売り上げランキング: 97,121
kindle版
■シャーロット・マクラウド 翻訳:高田惠子
本書は1982年原書刊行、本邦では1989年5月に東京創元社から翻訳刊行されたものの新装版。
ピーター・シャンディ教授シリーズ第3弾。

読了後の作品印象は第2弾のときと同じくらいなので第1弾が今のところ一番面白かったなあ。でも第2弾よりは第3弾のほうが好きかも。
シャンディ教授が第1弾だともう少し変人要素がある個性的なキャラクターだと思っていたので、第2弾以降のごく普通の知的探偵役が物足りなく感じてしまう。まあこれはこれで悪くないんだけど。その代わりと言っちゃあなんだが、学長トールシェルド・スヴェンソンは素晴らしい! 今回もヴァイキングの遺跡が発見された後の番犬役(?)の凄まじい迫力は想像しただけで笑え、いや、畏れ多い。奥さんのシーグリンデも後半に逞しい馬に乗って登場するシーンがあるんだけど神話の女神か! っていうくらいドラマチックで素敵!

いちおうコージーのジャンルとして扱われているし作品全体の雰囲気もそうなんだけど、第3弾は殺害方法が陰惨を極めるというか、絶対見たくないなあ。しかもまた被害者が無邪気な良い人だった…。
石灰は運動場に線を引くときとかで子ども時代になじみ深いけど、頭に「生」がついて「生石灰」になっただけで扱いを誤るとこんなに恐ろしいことになるなんて!

最後まで読んで犯人そのものはそんなに意外じゃなかったけど(疑っていたわけじゃなくてこの人物をそんなに信頼していなかっただけの話)、犯行動機がよくわからなかった。最終的な目的は明白なんだけど、なんでそのためにあんな残酷なことや悪質なことを何度も繰り返したのかが納得できない、他にやりようはいくらでもあっただろうに…作中でシャンディがわかると言っていたのでそれはつまり★以下【 】内ネタバレにつき白文字【犯人の父親や生まれ育ちの環境の悪さ】が原因ということなんだろうけど、うーん、もうちょっとそこらへん丁寧に運んでほしかったなあ。【想像力が欠如している】とかそういう感じで書いてあったけど、そうなってしまった心理とかがこっちで脳内補完が要る感じだったので。

コージーと云えば恋愛絡みが結構重要な要素のひとつとされるんだけど、第3弾ではなんと御年104歳のレディと102歳のじいさまの熱烈恋愛が。
主人公夫婦も相変わらずのラブラブぶり。50代半ばと40代のカップルが人前で仲の良さを隠さないっていうのはちょっとわたしの感覚だと「日本人はしないような…」と思っちゃうんだけどアメリカ人だしね。殺人とか事故とか相次いでいるからお互い心配していて無事がわかって情熱的になって、という状況もあるしね。それにしても第3弾であらためて書かれているんだけど出会ったのがクリスマスのつぎの週で1月21日に結婚って早いなあ。第1弾の感想でシャンディ教授が結婚の経験があったのかどうか判断に迷う表現があったと書いたが本書で「わたしも家内も結婚はこれがはじめてです」という同氏の発言があったのであれはあんまり意味がない言い回しだったのだとはっきりしてすっきり。そういえば結婚式はどうしたんだろうか、新婚旅行って行ったんだろうか、どっかに書いてあったかなあ?
小さな猫を第2弾と第3弾の間に飼いはじめたらしく、名前はなんとジェーン・オースティン!!ヘレンが特に文字通り猫可愛がり「パパ/ママ」で猫に話しかけているのとかうーん意外だ。そういうキャラだったのか。子育ての大変さと猫のそれを一緒にしちゃうのはどうかと思うぞ。

ヴァイキング、ヴァイキング (創元推理文庫)
高田 恵子 シャーロット・マクラウド
東京創元社
売り上げランキング: 485,299