2016/02/18

雁、じいさんばあさん

雁

posted with amazlet at 16.02.18
(2012-09-13)
kindle版
■森鷗外(森鴎外)
」(「スバル」明治44(1911)年9月~大正4(1915)年5月に連載)
何気なく読みはじめたこれはすごく読みやすかった。内容的にはもどういう話に落ち着くかが気になる設定で、男女の縁とか心の機微とかが面白かった。
特に「囲い者」を男が作る段取りだとか、奥さんに囲い者がばれたときの誤魔化し方とかが興味深かった。ふーん。
「囲い者」は家も着物も旦那が用意してやるし、家には手伝いの小女もつけてやるし、この話の場合だったら妾となる女の父親の家まで世話してやるのである。随分物入りだ。金満家でなければ無理だ。
ちなみにこの話の男は高利貸しなんだけど、お妾さんは妾になってしばらくして人から言われるまでその商売を知らなかったとか、そもそも間に入った仲人からは奥さんがいないひとと聞かされていたとか、えええええそんなので自分の一生を預けちゃうのって思ったけど。でもこれだけしてくれて遊んで暮らせるならいいのかな。妾が高年齢になったらどうなるのかしら。家があればそれなりに暮らしていけるのかな。そのへんは書いていない。
語り手の「僕」が見聞きした妾と「僕」の友人の駆け落ち話にでもなるのかと予想しながら読んでいたので終盤の展開は意外だった。あらー。でもこの「僕」も隅に置けませんよね。言い訳してるけどね。

じいさんばあさん
じいさんばあさん
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(2012-09-13)
じいさんばあさん」(大正4年9月)
これも面白かった。こういう夫婦もあるんだなあという話。まあ今じゃ有り得ないか。ふたりが一緒に住む時系列で一番手前が文化6年。1809年。夫伊織72歳、るん71歳。彼らは子細あって37年間一緒でおれなかったのだ。なんということ。運命っていうけど。伊織のしたことは大変なことだけど流れを読むとその行動には十分同情できるし。
るんが賢くて、ちゃきちゃき働いているのが良かった。家でじっと待つ内助の功の妻、っていうのが江戸時代とかだったら多いかと思うんだけどそこがるんは違ってて、変わってる。江戸時代のキャリア・ウーマンだよね。恰好良すぎる。
タイトルが可愛らしくてほのぼの系?と思って本文に入ったらいきなり硬くてちょっと予想外なんだけど、この内容にはこの文章が固めで今風の心理描写などがないのが合っていると思う。この内容を「雁」の文体で書かれたらダメだよね。