2016/01/23

ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)
姫野 カオルコ
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 41,573
kindle版
■姫野カオルコ
本書は、2003年10月に角川書店から上梓され、2007年角川文庫となった作品の電子書籍版である(解説は省略)。第130回直木賞候補作。

この本は2003年に「本の雑誌」で北上次郎が大絶賛している書評を読んで以来、ずーーーーーーーーっと頭の隅っこで気になり続けていた小説だった。
①すごい名作だという。→②名作は読んでおきたい。→③だけど「恋愛小説」だし、どうアラスジや評判を読んでも濃厚な恋愛ものっぽいし、そういうのは苦手なんだよなあ~。→①に戻る。
という具合に、最初に知った時から思い出すたびにこの思考ループが回って、結局読まないまま今まで来た。先日、同著者の『昭和の犬』が予想以上に良かったことと、著者に対する自分内の好感度がかなり高まっている今なら読めるかも、いつ読むの、今でしょ!(古い?)という感じでえいっと読んでみた。

結論から云うと、やっぱり苦手でした……。でも小説としての出来はかなり高いレベルだし上手いと思う、単に読み手の好みの問題。
最初、小学校時代から始まって、ぼんやり読んでいて「小学校高学年」みたいな言動を登場人物たちがしていて、でも「二年生」と書いてあったので「エッ!?」となってもう一回最初から読み直したりした。えー、小学二年生ってこんなにマセてたかなあ。

この小学校時代を夜に読んで、いったん置いて就寝するとき、「やっぱり合わないから、もうこのまま読むのやめよう」と思っていた。でも起きてもう一度考え直した。今までの経験上、途中でやめた小説っていうのはずっと気になってしまうのである。まして、この作品は2003年からずっと「あれを読んどかないと」と気になり続けていたものである。せっかく10年以上持ち続けた荷物を下ろそうとしてるんだから背負い直すのは駄目だー!
というわけで、歯を食いしばって読んだ。
さいわい、中盤の、主人公と相手がどうこうなるあたりからは物語の展開が加速し、それに比例するようにこちらもどんどこ読み進むことが出来て、昼休み&帰宅後読書で読了することが出来た。
『昭和の犬』は楽しく読めたけど、『ツ、イ、ラ、ク』は小学生時代は理解できなくて気持ち悪くて苦痛を感じ、中学生時代は週刊誌をのぞき見するようないささかスキャンダラスな内容に対する興味で乗り切り、それ以降はちょっと冗長で退屈だなあこれと思いながら読み、ラスト付近はいきなり甘くなって落ちまでの定石通り過ぎる展開に戸惑いつつ、読了。楽しくなかった。
そこで就寝して、朝起きて朝食のメニューを考えつつ読書感想をどう書こうか考えているときに「ああ、この小説は砂糖を入れてよくかき混ぜないまま飲んだコーヒーのような作り」だったんだなあと思った。
ずっと苦くて美味しくなくて、最後の最後で底にたまっていた砂糖が甘すぎて顔をしかめる。
実際はコーヒーに砂糖を入れる習慣はないのであくまで「イメージ」だが。

それにしてもわたしは奥手な人間、いわゆる「ねんね」だったとは自分でわかっていたが、この小説を読んで、もしこれが世間の通常レベルの発達過程なのだとしたら、自分は思っていたよりもずっとずっとレベルが違うくらいに奥手だったんだと衝撃を受けた。いやでも、この小学生は早熟すぎるでしょとも思う。
この小説にこの小学生時代は必要不可欠だろうか? 無くても良いんじゃないか? あってももっと短くて良いんじゃないか?
中学時代はまあ置いておくとして、そこからの20年後の群衆劇みたいな描写が延々続く、その内容が良ければともかくこの陳腐さで、このしつこさは必要だろうか?
最終部あたりで、アイスクリームが出てきたときに「彼」が取った行動には素直にトキメいてしまったが…。

やっぱ恋愛小説は苦手。姫野さんの作品はテーマや内容によって好悪が分かれるので選んで読まなくちゃ。でもこれは彼女の代表作のひとつであることは間違いないので、読み通せて、これでやっと次に進むことが出来ると思った。