2015/12/05

終生ヒトのオスは飼わず

終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫)
文藝春秋 (2014-12-05)
売り上げランキング: 532
kindle版
■米原万里
本書は2001年に出版された『ヒトのオスは飼わないの?』の続篇にあたるエッセイ集で、著者没後の2007年5月に出版された。
前著を読んでいないのだが本書がkindleのセール本で安かったため購入。
秘書だった金田育子氏による「単行本解説『毛深い』家族たちのその後」の最初に以下のように記されている。
この本には二〇〇三年五月から二〇〇五年一二月まで三二回にわたって雑誌「ドッグワールド」に連載されたエッセイのうち第一回から第一〇回までを収録しました。著者・米原万里が書籍化の折には連載後半部分に必ず手を入れたいと言っていたため、その気持ちを尊重してこのような形になりました。

え~32回のうちのたった10回分? どうりでこの本、第一部は米原さんのペットだった犬と猫の可愛い描写と写真で頬が緩みっぱなしだったが第二部はペットと全然関係ないエッセイの寄せ集めみたいな作りで、まあ米原さんについて知らなかったことも書いてあったけど特に父方の祖父・父親の共産党絡みの内容は他の著作でも触れられていたことがあるうえに第2部だけでもおんなじような内容を3回も読まされて苦痛だったので「変な構成の本だなあ、著者没後にかき集めてボリュームをなんとか満たしたって感じだなあ」と思っていたので、「どうせなら、断りの一文を入れたうえで残りの22回を収録したほうが余程、収まりが良かったろうに」と考えずにはいられない。どうしても譲れない線があったってことかしらねえ。

目次を写す。( )内は内容についてのメモ。
第一部 ヒトのオスは飼わないの?
(愛猫ソーニャの出産シーンからはじまり、米原家の犬・猫たちの様子が細やかに描かれる楽しいエッセイ。みんな個性豊か。米原さんってメロメロが付くくらい大の犬猫好きでらしたというのが伝わってくる。)
新しい物語が始まる/醜いアヒルの子/神様の悪戯/末は博士か大臣か/兄いもうと/ゲンのへそくり/愛にスペアはきかない/過去のある女/無理の理/大移動/褒め上手の効用

第二部 終生ヒトのオスは飼わず
「家」の履歴書(初出「週刊文春」1998.7 取材・構成 最相葉月(!!)/夢を描いて駆け抜けた祖父と父(初出「文藝春秋臨時増刊」2000.2)/地下に潜っていた父(初出「文藝春秋」2005.10。・・・以上この3篇は内容にかなりの重複がある。
キュリー夫人を夢見た母(初出「婦人画報」1999.6。他の著作でも書いてあった内容をやや詳しく書いてある
これも一種の学歴信仰(「文藝春秋」2001.3。ロシア語が最も上達する職業は!?
言葉に美醜なく貴賤なし(「文藝春秋臨時増刊」2002.9)
核武装する前に核被害のシミュレータを(初出:「諸君!」2003.8)
よくぞおっしゃった;異例の皇太子発言 私はこう考える(「文藝春秋」2004.7。雅子妃を応援する内容。
羊頭狗肉の限界;わが九条「改正」試案(「諸君!」2005.6)
偉くない「私」が一番自由(文春新書『わたしの詩歌』より)
終生ヒトのオスは飼わず(文春文庫『私の死亡記事』より。この本は昔買って読んだが、新聞の訃報記事を本人が仮定して書くというブラックユーモアな企画本で、土屋賢二先生など人によってはなかなか面白かった。米原さんは享年を75歳と仮定しており、読むにつけ、早すぎる死が惜しまれる。

単行本解説
付録(毛深い家族たちの見取り図/階段ネコの変遷/愛したものたち/マルクス家の告白ゲーム/米原万里年譜