2015/11/01

コドモノセカイ

コドモノセカイ
コドモノセカイ
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河出書房新社
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■岸本佐知子/編訳
岸本さん編の新刊は「コドモノセカイ」というタイトル通り、子どもがテーマのアンソロジーだ。いつもちょっと変ちくりんな面白いお話を訳してくれる岸本さん、「子ども」と「変」はテッパンだろう。しかも装丁も可愛い!こういう本は電子書籍じゃなくて紙の本で買って撫でくりまわしたい。というわけで。

内容は以下12篇だけど、ラストの「七人の司書の館」が短篇くらいの長さ、他はショート・ショートくらいの短さ。参考のために目次のページも写す。星を付けたのは特に気に入ったお話。

まじないリッキー・デュコーネイ 7 
これは冒頭からずっと「わかるわかる」という話だった。実際こういう子どもだったわけではないが、思考回路は手に取るようにわかる。ただ彼は少しばかり感じやすすぎた、リアルの中に想像が侵食してくるほどに。最後のところはこれは、うんと怖いふうにも解釈できるし、まさか、そうじゃないでしょ、と逃げる余地も残されている。

王様ネズミカレン・ジョイ・ファウラー 15
『ハーメルンの笛吹き男』は確かにおそろしい話だった。お話の中に本当のお話のことが出てくるのってなんだか「同じ地面に立っている」気がしてどきどきする。『お城とドラゴン』を読んでみたくなり、検索したらゲームが出てきた…。

子供アリ・スミス 29
これ恐い話だなあ。スーパーでカートを置きっぱなしにしちゃいかんね。

ブタを割るエトガル・ケレット 49 
この父親大嫌い! 「ぼく」に共感しまくりで、父親のわけわからずのマッチョぶりに心底絶望した。

ポノたちピーター・マインキー 57
乱暴者が憎らしかった。ジャイアンにいじめられるのび太を思い出しながら読んだ。

ステイシー・レヴィーン 81
これはなんなんだろう? 弟…いつも砂の上に…不可能だし…なんなんだろうこれ。

最終果実レイ・ヴクサヴィッチ 85
なんだか民話とかそういう感じだった。頭の上に木が生えて抜いたら池になってそこで魚釣りっていう話があったなあ。これはそれのもっとグロテスクなやつなんだけど、黒い髪の美少女っていうところが残酷さを強調している。アニメーションのように頭の中で映像が流れた。

トンネルベン・ルーリー 105 
こういう悪夢あるよ~これはコワいよイヤだよ~でもこれを書いてくれた、お話としては好きかも。

追跡ジョイス・キャロル・オーツ 113
主観の子どもの視点で読みはじめるんだけどその子が「良い子」がやらないようなことをやりだすので戸惑う。

エトガル・ケレット 129
そうかアディダスってドイツのメーカーか…。

薬の用法ジョー・メノ 137
子どもの無垢と無知と残酷さ、子どもはいろんなものを殺して大きくなる、大なり小なり、これに近いことをやっている。殺そうと思っていなかったのに殺してしまったときの絶望感は想像して余りある、そこに駄目押しのように明かされる父の死の真相。まいるね。

七人の司書の館エレン・クレイジャズ 147 
夢のような素晴らしい、古風なその図書館には7人の司書が住んでいた。そこにあるとき届けられたバスケットの中には…。
きれいで、はかなくて、非現実的で、急な展開がそれを壊してしまいやしないかとどきどきしながら読んだ。ゆっくりとずぶずぶといつまでも浸っていたいこの図書館の書架の間に。素晴らしい逸品だ。この話が読めただけでもしあわせだ。

編訳者あとがき 207
それぞれの作者の簡単なプロフィール紹介など。

「装丁めっちゃ可愛い~カバーの写真もセンス良いし、カバー外した本体の茶色と黄土色もシブくてオシャレやし背表紙の角のところのカックンとしてるとことかめっちゃ美しい~! 誰やろ装丁、また名久井さんやったら笑うわ~」と確かめたら名久井直子さんだった。凄いを通り越してヤバイと思った。名久井さんのというか編集者の思うつぼ、掌の上で転がされている気がする。まあ今回表紙買いじゃないけどね。翻訳&編者が岸本さんでテーマが子どもだったから「ツボ」だったんだけどね。写真は加藤慎一さんという方、岸本さんの「あとがき」に【表紙の撮影のために大切な宝物を貸してくれた子供たちにも、この場を借りて感謝をささげます】とあって、あらためてまじまじとその「物たち」を見つめた。これ複数のお子さんから…とは思えないくらい統一性があるんだけど、「たち」って書いてあるなあ。