2015/10/15

吾輩は猫である 【再々読】

kindle版
■夏目漱石
3度目の通読、通読じゃなければもうちょっと読んでるんだけどなんせ長いわりにアラスジは単純で枝葉盛りだくさんで出来上がっている小説なもんだから。お気に入りは苦沙弥先生の3人の幼い娘さんの出てくるところ。お茶の水幼稚園に通う「とん子」嬢を筆頭に、次女・すん子、三女の「めん子」ちゃんは当年とって3歳。「坊やちゃん」と呼ばれているが、自分で自分のことは「坊ば」と呼ぶ。「坊や」って男の子につかう愛称だと思うんだけど…明治時代は違ったのかなあ。

大筋は、スジがあるところをいえば中学教師をしている苦沙弥先生のところに出入りしている「寒月君」をめぐる近所の実業家「金田家」の娘との縁談のさきゆきは?ってところなんだろうけども、でもそれがメインじゃなくて、「吾輩」こと猫くんの目を通して描かれる猫の世界の話や飼い主の家にやってくる一風変わった面々の日々の長々したお喋りの内容とか近所のあれこれである。人間風に書いてあるところも多いけど、猫ならではのお雑煮餅とのダンス(?)とか、ネズミを捕ろうとしたとき、蟬獲り、松の木の登り降りなんかについてもえんえんと書いてある。猫も多弁だけど苦沙弥先生のところにくるお客はみんなおしゃべりが長い。とにかく回り道の多い小説で、ここからそこへたどり着くまでに話が横道へ逸れる逸れる。こんなんだから長くなるわけだけど、不思議と面白くて読めちゃう。

漱石流の難しい熟語も頻出するけれど、わからない言葉は前後の脈絡でなんとなく雰囲気読みして、話そのものはごく気楽なユーモアと皮肉の利いたニヤニヤしながら読める気楽で楽しい話だ。みんなどこまで本気?っていうくらい冗談みたいなことばっかり言ってる。よく考えたらこの小説に出てくる主要なひとたちって30歳くらいの若い世代のひとたちなんだもんね。しかもそれを子猫の視点で書いてある。
今回はkindle版で読んだので電子辞書を引きながら読んだが、ただ、紙の本と違って注釈がないので「ここは辞書どおりの意味じゃないだろう」ってところとか、当時の世相を反映している時事的なこととかはわからなかったのでやっぱり注釈付きの文庫で読んだ方がいいのかも。