2015/10/23

心臓に毛が生えている理由

心臓に毛が生えている理由 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川学芸出版 (2013-05-16)
売り上げランキング: 2,016
kindle版
■米原万里
本書は2008年4月角川書店から単行本として出版され、2011年4月に同文庫となったものを底本とした電子書籍版である。
米原さんは2006年5月25日に鬼籍に入られたので、亡くなった後に出版されたということだ。
巻末の初出一覧を見ると、1998年~2005年頃までにいくつかの媒体に載せられたエッセイをまとめて本にしたようだ。主な初出は読売新聞「真昼の星空」、上野のれん会「うえの」、三省堂ぶっくれっと、毎日新聞夕刊、日本経済新聞 明日への話題など。
マミフラワーデザインライフ「フラワーデザインライフ」帰ってきた万里ちゃん、という初出コーナー名がちょっと気になった。万里ちゃん、って可愛いなあ。あと、大宅壮一文庫「大宅文庫ニュース」というのも気になるなあ。(リンクを貼っておきました)。
ウィキペディアによれば【公益財団法人 大宅壮一文庫(おおやそういちぶんこ)は、大宅壮一が亡くなった翌年の1971年、膨大な雑誌のコレクションを基礎として作られた専門図書館「大宅壮一文庫」を運営する公益法人。元文部科学省所管。】だそうだ。ふーん。

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』はルポだったけど、これは1つ1つが短いエッセイ。気軽に読めて、「へえ~」と感心したり面白がったりできるものが多い。
「『嘘つきアーニャ…』を書いた理由」という文章と、巻末の池内紀との対談も同著についてがテーマなので、『アーニャ』を読んだらこれも是非セットで読んでおきたい。

特に印象に残った内容を順にメモっておく。
フランスのレストランのギャルソンの話、ロシアで頭寒足熱を実践するとヒドイ目にあうという件、ヤギとヒツジの区別にまつわる話、食器の材質について(プラや金属のそれを使わされるへの抵抗)、ナポレオンの料理人の話、○×教育の弊害、言い換え(表現の豊かさ)、慣用句への業界からの要請への呆れ/本音を言わない日本のオバサン/甘い呼びかけ/アルメニア人が恨まれた理由とは/若者が感じていることを表に出すことを怖れている件、サフランが貧血に効いた?、アレクサンドラ先生と要約の話。

目次を写す。
Ⅰ 親戚か友人か隣人か
神聖なる職域/陽のあたる場所/頭寒足熱/流刑あればこそ/サッカー好きの元首/花も実も/親戚か友人か隣人か/季節を運ぶツバメ/衣替え/ヤギとヒツジ/雪占い/おとぎ話のメッセージ/ラーゲリにドキッ/愛国心のレッスン/〝近親憎悪"と無力感と/プーシキン美術館を創った人々

Ⅱ 花より団子か、団子より花か
花より団子か、団子より花か/キノコの魔力/餌と料理を画する一線/食欲は…/ソースの数/黒パンの力/蕎を伝播した戦争/ナポレオンの愛した料理人/非物的娘

Ⅲ 心臓に毛が生えている理由
○×モードの言語中枢/言い換えの美学/便所の落書きか/曖昧の効用/素晴らしい!/心臓に毛が生えている理由/言葉は誰のものか?/脳が羅列モードの理由/あけおめ&ことよろ/きちんとした日本語/言葉の力/無署名記事/読書にもTPO/仮名をめぐる謎/綴りと発音/新聞紋切り型の効用/ねじれた表現

Ⅳ 欲望からその実現までの距離
何て呼びかけてますか?/進化と退化はセットで/年賀状と記憶力/生命のメタファー/皇帝殺しと僭称者の伝統/理由には理由がある/物不足の効用/機内食考/氷室/ゾンビ顔の若者たち/最良の教師/頭の良さとは/欲望からその実現までの距離/

Ⅴ ドラゴン・アレクサンドラの尋問
わたしの茶道&華道修行/花はサクラ/リラの花咲く頃/ザクロの花は血の色/グミの白い花/サフランの濃厚な香り/叔母の陰謀/ティッシュペーパー/タンポポの恋/家造りという名の冒険/ドラゴン・アレクサンドラの尋問/『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を書いた理由/秘蔵の書/お父さん大好き/童女になっていく母/父の元へ旅立つ母

Ⅵ 対談 プラハ・ソビエト学校の少女たち、その人生の軌跡
米原万里vs池内紀