2015/10/11

0能者ミナト <9>

0能者ミナト (9) (メディアワークス文庫)
葉山透
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-09-24)
売り上げランキング: 2,483
■葉山透
ミナト・シリーズ第9弾。
今回の怪異はダイダラボッチ。
ダイダラボッチって日本の昔話・民話に出てくる巨人・大きなアヤカシで、でも別段悪さをするとか被害を被るとかそういう存在じゃないと思っていたのでこの話では「退治」をしなくては人間がやられてしまう、という設定であることに違和感を覚えつつ読んでいったんだけど。

昔話に出てくるダイダラボッチというのは土を掘り返したらそこが池になったり土を盛ったらそこが山になったりするから大きいといえば大きいんだけどイメージとしてはウルトラマンとかゴジラとかそういう大きさ。ところがミナト・シリーズに出てくるダイダラボッチは流石と云うか、スケールが違う。体長2,000メートルの巨人て! うわ! 人間と蚤の関係くらいの差とか書いてある。でかすぎてイメージが追いつかんぞ、だいたい蚤が人間を倒すて、そんなこと出来るわけ!?しかもそんなあほみたいにデカい怪異がなんでいままで出てこなかったんだ、目立つなんてもんじゃないぞ!?

以下、盛大にネタバレしてるので未読の方は読まないでスルー推奨ですぴょん(。・ω・)ノ

途中で明かされる「九条湊のダイダラボッチ解釈」にはあー、という感じ。そういう切り口できましたか。
量子力学……聞いたことや読んだことはあっても「日本語で書いてあるのによくわからん」学問デス。
「シュレーディンガーの猫」は初めて聞いたのは大学の一般教養の何故か「社会学」だったので最初は社会学用語と思っていたくらい、禅問答ぽいというか哲学ぽいというか、なんにせよ「文系ぽい」、でも「量子力学」だから思いっきり理系だというアレですね。猫が生きてるか死んでるかは箱を開けてみないとわからないっていう、そりゃーそうだけどそれってどうよ?っていうヤツですネ。
ダイダラボッチは怪異だからよくわからん。
量子力学も(わたしには)よくわからん。
その「わからん」ものどうしを結び付けられると読んでいる身にはどう感じられるか……答えは「なんだかよくわかんないけど煙に巻かれた気がするけどまあ変わった解釈でおもしろいからまーいっか!」という完全ダマされ丸め込まれパターンです。ふ、フィクションだから面白かったらいいのよっ!(誰に言い訳してんだ)。

量子力学的に不確定な存在を倒す?しかもむちゃくちゃデカいのを?
というトンデモ設定なので、ミナトが「○○を使って倒す」という発言をするまでがヤマというか興味のピークで、その方法を実践する終盤の「ダイダラボッチ退治」のあたりは興味が薄れてしまって少々流し読み気味になっちゃった。っていうかそもそもの「認識」したから「被害が確定」って、うーんなんだかなー。
でもこの話を読んで、「自然災害による被害」についての葉村さん流の解釈とも取れるのかな、という気もした。那州雪絵の怪異を扱ったコミック(確か『魔法使いの娘ニ非ズ』第3巻)に強すぎる相手と戦う話があってそのあとがきにそういう、「作者の創作意図」が書いてあってびっくりしたんだけど、これもそういうのかなと。実際話の中で沙耶ちゃんがそういうふうに考えているところもあって。人間の力に対してあまりにも大きすぎる力によって被害を受けた場合、その原因を取り除こうとする、というのは(つまり地震や津波をやっつける、というのは)あんまりにも難しすぎるし、被害を防いだりする対策を取る方向に思考は流れるんじゃないか。2,000メートルもある怪異による被害もそれとおんなじような、人間がどうこう出来るものじゃない、神とか自然とかそういうレベルで「巫女」である彼女はまず「畏れ」を感じると。うん、すごくよくわかるその気持ち。でもミナトはいろんな意味で「怖いもの知らず」でぶっとんでるからねー。こういうひとがいることも「人間の面白さ」と云えるよなあ。

そういえば『日本人の知らない日本語』で有名な蛇蔵さんの漫画『決してマネしないでください。』を先日kindle版で読んだのだがその2巻にもシュレーディンガーの猫が出てきた。蛇蔵さんにかかれば「ノリツッコミ」の一言で片付けられてしまうのがスゴい。科学分野を中心に扱われたコミックで、ラブコメ風の要素もあり、オススメ。現在2巻まで、紙媒体とkindle版両方発売中。

ここに貼ったのはkindle版です。

魔法使いの娘ニ非ズ(3) (ウィングス・コミックス)
新書館 (2013-08-01)
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これもkindle版です。