2015/09/22

ありのすさび 【再読】

ありのすさび
ありのすさび
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光文社 (2013-01-11)
売り上げランキング: 54,399
kindle版
■佐藤正午
前回読んだのは2008年12月でもちろん文庫本で読んだ。今回は電子書籍で買い直して。
佐藤正午のエッセイとしては2冊目だが、1冊目『私の犬まで愛してほしい』は1989年の刊行で、この『ありのすさび』が2001年1月なので12年も開いている。「あとがき」で著者は「感覚的に言えばもう百万年くら昔の話だし、なんなら今度のこれを佐藤正午の第一エッセイ集と呼ぶことにしてもかまわない。」なんて書いちゃってるし。でもよく見ると中のエッセイの初出年自体はそんなに開いていなくて、Ⅰ小説家の四季は1989年からはじまっている。どこが百万年前やねん。
どうしてこういうことになったかというのは「あとがき」を読めば書いてあることだが、要するにあちこちにエッセイは続けて書いておられたがまとめて本にするひとがいなかったと。それを岩波書店の坂本さんという編集者の方が全部読んでその原稿をもとに編んでくれたと。坂本さん様々ではないか。
単行本は岩波書店から出て、2007年3月に光文社文庫化した。さすがに岩波文庫には入らなかったということか…。
なお文庫解説は坂本さんが書いておられるのだがkindle版では省かれている。ぎゃふん。

「ピンチヒッター」の2回分はそういう「設定」で書かれたエッセイなのに、本当に著者が仕事を他人にやらせたと思い込んだ読者からの抗議が殺到したのだそうで、そういえばこのあいだ読んだ芸術家のエッセイでは奥さんが書いていることになっていたのか本当なのかどうでもいいが、しかしそんなのでクレームの電話やファックスが怒濤のように編集部に押し寄せたそうで、佐藤さんはそれを「耳を疑った」そうで「ああ、そういう人がほんとにいるのか、と暗澹たる気分におちいらざるを得なかった」そうで、当時の編集担当者は散々な目に遭ったとのこと。いろいろ考えさせられるエピソードだなあ。

ワープロが主流だったり、初期のメールの状況とか昔な感じだがまあせいぜい25年くらい前の話なのである。このへんの分野は日進月歩どころかすごい速さであっというまに変化してしまったので、いまの十代の読者には全然ぴんとこないのかもなあ。
佐藤さんっていまおいくつだっけ、えーと、1955年8月生まれだからうわ、60歳かあ。このエッセイ集に出てくる著者は34歳~45歳くらいで、ほとんどのエッセイでは独身となっているが後の方でいつのまにか妻がいることになっている。そ、そのへんの事情は全部すっ飛ばしですか。それともこれも創作? 佐藤さんの場合わかんないんだよなあ、ネットでググっても情報なしだし。

「小説家の四季」1991年夏に「これを食べたらやみつきになる」というパスタの(本文では「スパゲティ」となっている)レシピが書いてあるんだけどこれってペペロンチーノだよね、ペペロンチーノが日本でふつうに食べられだしたのっていつだっけ。「今まで食べてきたスパゲティはいったい何だったんだ?」とか思うって書いてあるのでイタリアンでふつうにメニューに載っていない時期なんだろうなあって想像して読んだんだけど、っていうか塩多すぎじゃないのかなあ、後で出てくるおばちゃんの意見どおり辛すぎっぽいレシピな気が。だいたい外食は塩分高めだけど、これを家庭料理でしょっちゅう食べてたら太るだけじゃなくていろいろ弊害が出そう、でもまあ素直に美味しそうなレシピだけどね。というわけで本日のうちのお昼はペペロンチーノを作る予定。

目次
わが心の町
Ⅰ 小説家の四季
1989年/1991年/1996年/1997年/1998年/1999年/2000年

Ⅱ ありのすさび
まず国語辞典/続・国語辞典/ありのすさび/犬の耳/ウイッチントン/絵葉書/オレンジトマト/カント的/菊池寛/クロスワード/桁外れ/コーヒー/サラダ記念日/趣味/素顔/選択肢/即決即行/妥協的結婚/血/強気/天職/とも言う/なめくじ/ニュース/縫い針/ネクタイ/ノイローゼ/ハーブ茶/ピンチヒッター/ピンチヒッター2/ブラウニー/弁当屋/ホルトノキ/負け犬/右と左/麦こがし/迷宮入り/モンタナ/焼き鳥/ゆき過ぎ/よそみ/ランゲルハンス島/履歴書/留守番電話/れる・られる/櫓/ワープロ/ゐとゑ/をば/ん?

Ⅲ 猫と小説と小説家
ラブレターの練習/猫と小説/春の嵐/一九八〇年五月七日、快晴/「三無主義」の中年/四十歳/ホームタウン/夏の夜の記憶/ハンバーガー屋で出会った女の子/二十七歳

あとがき