2015/09/19

書生の処世

書生の処世
書生の処世
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荻原 魚雷
本の雑誌社
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■荻原魚雷
これは紙の本。単行本。2015年6月本の雑誌社刊。
このあいだ書店の「新聞の書評欄で採り上げられた本」のコーナーに置いてあって、「あ、これ本の雑誌で連載してるひとの本だな」と何気なく手に取ってぱらっと中を見たら「キンドル生活事始」というエッセイが載っていて、買うことにした。わざわざ書いていなかったが2年くらい前から「本の雑誌」を毎月買うのをやめたので、本書は「本の雑誌」連載の「活字に溺れる者」2011年1月号~2014年12月号が初出だけど半分くらいは未読の記事の筈だから。
キンドルについて書かれた文章は本書のうちごく一部だが、全篇本にまつわるエッセイ(書評的な紹介的な内容でもある)なので好きなジャンルであることだし。

わたしがkindleを入手したのは2014年11月なのでまだ1年経っていない。その物珍しさがまだ消えていない状態だからなのか、それとも今後ずっと飽きないのかはわからないのだが手放せないアイテムとなっている。明らかに紙の本より便利だと確信していることは
①重量が一定している(重くない)。
②辞書機能が付いているので一般的な用語についてはその場ですぐ辞書で言葉の意味を確認できる。
③書店に行かなくても本を買ってすぐに読むことが可能である。
④ながら読みに最適である(本の場合片方の手で押さえていないと閉じてしまう)。
の4点である。
ではマイナス面はというと一にも二にも
「ソフトが圧倒的に少ない!」
というこれに尽きる。
「解説が省かれていることが多い」
というのもあるかな。
あとは紙の本みたいに装幀が楽しめないというのはあるがそれがしたい場合は紙の本を買うので。

リアル書店でぶらっと本棚を見て自分好みの本を選ぶその方法というかコツみたいなのはわかっているのだがkindleの場合まだそれがわからない。それでなくとも数が少ない中からいかに自分の好きな本を見つけるか(作家だとかタイトルがわかっている場合は検索すればいい、そうではなくて未知の、開拓をする場合の話だ)。
その参考になるかな、というのがちょっとあって読んでみたのだが結論から云うとそういう意味ではあんまりだった。でも荻原さんが佐藤正午のエッセイをえらく誉めていて、佐藤正午のくだんのエッセイ3冊ならば昔文庫で既読で、そんなに自分的には感心した覚えもなく既に手元にすらない状態だったから気になってkindle版で買い直していま通勤などで少しずつ読んでいる。その感想はまたそれを読み終わった時点でこのブログに書くが、まだ途中だが、いまのところは荻原さんのような感動はしていない。まー読書感想なんてそんなものよね。

本書は震災を挟んでいるので震災の後に書かれたエッセイなどはいろいろ意識が変わったみたいなことが書いてあり、「そうそう、当時は日本中がこんな空気だったよな」と思い出した。あの直後は「カラーインキを使って本を出すなんて節約すべき」「町の明かりはもっと暗くていいんだと気付いた」とかそんな感じだったなあと。節電意識とかは残っているけど都会の明かりはまた夜中でも煌々としている状態に戻った。

実はこの感想を書いている時点で本書のすべてを熟読した状態ではない。最近通勤にはkindleしか持って行っていないので本書は家でしか読まないのでやたら時間がかかる。何日かかけて最初にアトランダムに数篇読み、最初から通しで途中まで読み、またアトランダムにぱらぱら読んで最後までたどり着き、飛ばした回は現時点では読む気がしないのでとりあえず感想を書いてしまうことにした。特に気になったタイトルとメモを列挙しておきたい。

「ワーク・ライフ・アンバランス」→「あまり心に染まぬこと」と「生活」「お金」について。山田風太郎『人間風眼帖』。
「これからどうなる」→星野博美『銭湯の女神』から家を出たいんだったら、どんなことでも我慢しなさい。そんなに風呂に入りたかったら、一生家にいて親のいうことを聞きなさい。風呂一つも我慢できない人間が偉そうな口たたくんじゃないいよ。なんという至言。二十代のわたしが出会っておくべき言葉だった。
「福満しげゆきの活字本」→この回はそうだそのとおりだなあと全面的に深く肯かされた。