2015/08/12

吉田電車

吉田電車 マル車シリーズ (講談社文庫)
講談社 (2013-12-13)
売り上げランキング: 9,621
kindle版
本書は2003年に単行本が上梓され、2007年に文庫化したものの電子書籍版である。
2002年に単行本が上梓された『吉田自転車』は自転車であちこち出掛けたことをテーマにしたエッセイ集だが、その姉妹編?みたいな本書は電車に乗って出かけた篇。
ちなみに2006年単行本刊『吉田観覧車』というのも(未読だが)あるそうだ。

初出は「Web現代」2002.12.11~2003.5.19。

『吉田自転車』は昔文庫本で読んだことがあるのだが、表紙がすごく良かった。中身については覚えていないが、悪い印象も無いのでそれなりに面白かったのだろう(と思ったらこのブログ内に感想があった。読んだのは2009年だって。たった6年前じゃないか。わー覚えてない!)
『吉田電車』は電車であちこち行く、というので鉄ちゃんのその種のエッセイはだいたい面白くてアタリが多いのである程度期待があった。
読みはじめてすぐ吉田戦車が鉄道ファンではないことは悟ったが、それはそれで吉田戦車独特のテンションの低さ(?)が良い味を出しており、まったりと楽しめた。
何より第1回のテーマが「近鉄電車」「近鉄特急」というのが奈良県出身者には嬉しいこと限りない(近鉄特急で名古屋から伊勢志摩というルートはまったく逆だから乗ったことないんだけども)。
鉄道とか電車とかにマニアックな視線を注いだりはしないが、基本的にその種の機械とか設備とかに関心があるみたいで、ホームの端っこにある謎の設備とか、運転席の見慣れない用語の注意書きとかにひそかに萌えているというのが面白い。
何度か出てきたのが「手歯止め」。
ウィキペディアによれば【手歯止め(てばどめ、てはどめ)、または輪止め(わどめ)、ハンドスコッチ (Handschoch)、チョック (Chock) とは、鉄道車両や自動車、航空機などが車庫などで長時間停車する際に、車両や機体が勝手に動き出さないように、車輪とレールの間やタイヤと地面の間に噛ませるくさび形の器具のことである。】。
たぶん「輪止め」とか「ハンドスコッチ」って書いてあったら『吉田電車』にわざわざ記述されることはなかっただろうな。「手」「歯」という日常生活であまり見かけない組み合わせの言葉に反応したんだと思う。「手羽」ならよく見るんだけどね。単に「歯止め」でも良さそうな気がするんだけど「手歯」なんだね、面白いよな確かに。

『自転車』のほうの記憶が無いのだがこのシリーズは「麺類を食べる」というサブテーマもあるみたいで。
今回もラーメンや蕎麦を食べていた。でもグルメレポっぽさは全然なくて、「食べたよ」という事実が書いてあればそれでいい、みたいな雰囲気だった。あんまりおいしくなくても「まずい」とは書かないことにしているんだろうなというのは伝わってきて、お人柄だなあと。何故か魚類における麺類ということでドジョウも食べていたが…関東はドジョウ文化があるみたいだなあ。ドジョウ。わたしは食べたことが無い。関西ではあんまりドジョウ食べる文化が関東ほどではない気がする。

吉田戦車(1963年生まれ)の経歴をググってみると最初の結婚は1990年で編集者さんと。27歳くらいのときということになる。で、奥さんの趣味で成城に住んだけど合わなかったらしい。本書の中でもそのことに触れた箇所があり、2年住んですぐに引っ越した、と書いてある。
本書の中ではまだ「家の者(大)(小)」が登場している。家族そろって山梨の実家に自家用車で帰省したりしている。
吉田戦車は2007年に伊藤理佐とまんが家同士で再婚しており、そっち方面からの関連で今回本書を読むことにしたのだが、うーむ…。

目次
第1回 ああ近鉄! 伊勢湾にひびく巨獣の咆哮
第2回 魚罵倒! ゴッドパワーを信じて
第3回 Vゴール! 魂の兄弟たちとの出会い
第4回 生玉ネギ! ナイスバイク号はおかんむり
第5回 六本木! ああミニスカポリスの脚
第6回 サンドイッチ! 胆沢平野に白鳥は舞う
第7回 ザネリ! 賢治ゆかりのつるつるしたもの
第8回 ジェームス! 八方尾根にコンタクトは光った
第9回 レール! 歳三うどんはミルク入り
第10回 戦車誕生 よみがえれスマートな俺よ!
番外編その1 NHKと俺
第11回 六本木再び! ナメクジキラーここにあり
第12回 勝蔵の力! 人妻よ、寒いときは服を着ろ
第13回 耳との再会! 走れはやて、飛べ白鳥
第14回 トンガリ川! 函館市電に高鳴る鼓動
第15回 辰アニィに登るな! 三匹の奴らの咆哮
第16回 弁当半額! 大人のホビーと江戸の実力
第17回 毛の謎! 前厄軍団がゆく
第18回 たまちゃんとの出会い パセリの緑
第19回 スズメ捕獲! 千葉県”いすみ鉄道”前編
第20回 竹の子過剰! 千葉県”いすみ鉄道”後編
番外編その2 自転車散歩と俺
あとがき