2015/07/09

福家警部補の挨拶

福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)
東京創元社 (2012-10-25)
売り上げランキング: 13,060
kindle版
■大倉崇裕
福家警部補シリーズ第1弾。
amazonのおすすめでよく上がってくるが知らない作家さんなのでスルーしていた。女性刑事物というので昨今多いキャラ萌え「ミステリ風味」ではないかと軽んじていたのだ。
ひょっと気が向いてサンプルを読んでみたら予想したより硬派のミステリーのようだったので続きを購入して読んでみたら「こ、これは本格ミステリだったのか…!」なかなか面白く、アタリだった。
刑事らしくない風貌の小柄な女性・福家が主人公だが必要以上のキャラ立ちは無い(短篇集の宿命でキャラ紹介的なお決まりの設定を何度も読まないといけないのはちょっとくどく感じるが)。
倒叙もので、真犯人の視点から犯行が描かれた後、福家警部補が犯人の矛盾を細かく突いて論理的に犯人にたどり着くその地道な感じが良い。

4篇収録。
最後の一冊
『ミステリーズ!』vol.12(2005年8月)掲載、「本を愛した女」を改題。
こんな雑な偽装工作で騙される警察がいるのかなあと思ったら最初から怪しいと思われたみたい、でも確実に犯人だと結びつける証拠などを固めるのにはやはり地道な捜査とひらめきが必要なんだな。
本を愛する犯人には同情するが、よりによって本を凶器にしている時点で全然ダメである。殺した後で本棚を倒しているのに本棚が倒れたことが死因だと思われると考えている時点で絶望的であった。

オッカムの剃刀
『ミステリーズ!』vol.13・14(2005年10月・12月)掲載。
「ベッカムの剃刀?」と一瞬思ってしまった。哲学用語でそういうのがあって、犯罪捜査学にそれを引用して指導する人物が登場する、イコール犯人なんだけど、警察の捜査を知り抜いているからこその偽装工作を張り巡らせる(の割にツメが甘いなあっていうところがあって露見するわけだけど)。
福家警部補にエラそうに謝罪を要求する場面はなかなか腹立たしかったね。最後で逆転、鮮やかなり!

愛情のシナリオ
『ミステリーズ!』vol.16(2006年4月)掲載。
そんな理由で人を殺すかなあ…いや殺人はどれもダメだけど。
殺される側の名前が「柿沼恵美」でクッキング番組もしたことがある…ってどうしても上沼恵美子さんを連想してしまうなあ、キャラの造詣は全然違うけど。
すごい潔癖症の犯人で、水道の水で手も洗えない。だからペットボトルの水で洗う……ってそんなひとは大変だろうなあ。お金がいくらあっても足りない。湯水のごとくってそのまんまだ!
それにしても福家警部補…どこまで芋蔓式に調べてるんだ。ゴシップカメラマンの仕事の標的の男の職業まで調べるかなあ? しかもけっこう短期間で。睡眠時間が極端に少ないというのもむべなるかな。

月の雫
『ミステリーズ!』vol.15(2006年2月)掲載。
酒造会社の社長がライバル会社の社長を殺す話。殺し方がまた雑で「これって場合によっては死なないで反撃される可能性もあるんじゃ…」もっと確実に殺らないと不安にならないのかなあ。ライトを付けないまま山道を運転するというのも危なっかしいし。
この話で福家警部補がお酒にすんごく強いということが判明する。