2015/07/27

ぶたぶた日記

ぶたぶた日記(ダイアリー) 光文社文庫
光文社 (2005-09-15)
売り上げランキング: 49,637
kindle版
■矢崎存美
シリーズ第5作。第4作までは徳間文庫から出ていたのが5作からは第8作以外は光文社文庫になる。

今回は、カルチャー教室の「日記エッセイを書こう」という講座が舞台。
ぶたぶたさんはその参加者6人のうちの1人(人?)。
仕事をしている中年男性で結婚していて幼い子どもが2人いる、という設定はいままで通り。ただ、平日の夕方からの講座に月2回、男性が通えるという職場はそんなに多く無いような気がする。【うちは二人とも時間の融通はつきやすいので】と書いてある。奥さんも仕事を持っているらしい。ぶたぶたさんが何の仕事をしているかはこの本では出てこなかった。定時で上がれるサラリーマンなのかなあ。

第6章まである長篇というか、毎回語り手が違うので連作短篇集というか。すべてカルチャー教室がらみの登場人物の視点。
それぞれエッセイが作中作で載っているのも面白い。
第1回「突然の申し出」はぶたぶたさんがカルチャー教室に通うことになった理由、視点は先生の磯貝ひさみつ氏。
第2回「二番目にいやなこと」は江本佳乃という27歳の大手広告代理店の総務勤務のOLさん視点。広告代理店だけど総務、っていうのがポイントというか、巧いなあ、いいとこ突いてるなあ。
第3回「不器用なスパイ」は高校を中退した16歳の少女、篠塚千奈美さん視点。なんと教室でではなく偶然スーパーでぶたぶたさんを見掛けて尾行して…。
第4回「もっと大きくなりたい」は主婦の松浦順子さん視点。既に勤めている息子さんと娘さんがいる年代。40代前半のぶたぶたさんを「年下」と書いてあるから50歳くらいかな。悠々自適を絵に描いたような生活、でもずっとイライラしている……。人間、余裕があればそれで幸せかっていうとそうでもないというのが難しいなあ。
第5回「紅茶好きの苦悩」児玉修氏視点。70歳。ぶたぶたさんの話を家族にしたらボケたと疑われて……。まあ、それが普通でしょうなあ。でも最後に直に見ても信じなくて病院に行った方がいいかなどと言い出す家族のほうも柔軟性無いなあ。大阪堂島の美味しい紅茶の店が出てきたけど、どこのことかな、とか考えつつ。ググって一番に出てきたお店があるんだけど堂島のお店は閉店してしまったみたい。うーん。堂島と云えば英国風の紅茶の素敵なお店があるけどあそこは現在も地下だから違うよなあ。
第6回「今までで一番怖かったこと」日比谷正明氏視点。会社でリストラ対象者のリストに入ってしまって茫然としているひとの話。ぶたぶたさんと同世代と書いてあるので40代半ば。まだ小さい息子たち、と書いている。厳しい話だ。奥さんは怒るだけしかしないというのもさみしい。でも最後にぶたぶたさんと話をすることで立ち上がれたみたいで、ほっとした。