2015/07/15

三人目の幽霊

三人目の幽霊 落語シリーズ (創元推理文庫)
東京創元社 (2012-10-25)
売り上げランキング: 18,701
■大倉崇裕
落語シリーズの第1弾というので読んでみた。
なお、著者経歴的には表題作「三人目の幽霊」で1997年第4回創元推理短編賞佳作を受賞、2001年、『三人目の幽霊』でデビューということらしい。

落語とミステリといえば北村薫の円紫師匠と私シリーズ(1989年~)、田中啓文の笑酔亭梅寿謎解噺シリーズ(2004年~)などがあり、どれも好きなので。
先に上げた2つとも落語家さんが探偵役だが、大倉さんのは落語専門誌の編集長がホームズ役。語り手は新米編集者の若い女の子(23歳)である。

短篇5つ収録。
なお、最初と最後の話は寄席が舞台で噺家さんに起こった謎を解くミステリ(かつどちらも嫌がらせの犯人を捜せという話)だが、間の3篇は落語関係無し。

三人目の幽霊
ライバル同士の噺家一門、嫌がらせをしているのは…? これは途中で犯人がわかってしまった。知らない落語の噺が出てきて面白そうだったのでまた探してみよう。

不機嫌なソムリエ
温厚なソムリエが1枚の写真を見て顔色を変え、その後失踪してしまう。ワインが実に美味しそうに描かれており、飲めたら素敵だろうになあと思う話。

三鶯荘奇談
なんと殺人もの。油断していたのですごく怖かった。よくわからない状況で殺人犯に追いかけられるシーンとか身にせまる怖さ。

崩壊する喫茶店
なんちゅうタイトルだ。読んでも出てくるのは「改装中の喫茶店」「潰された喫茶店」であって、「崩壊する」という劇的な表現が何故使われているのかわからない。おそらく既存の有名な何かに引っかけてあるんだろうなあ。小説としてはなかなかドラマと奥行きがあって良かった。ただ、70歳の描き方が老人過ぎて違和感あり。

患う時計
これも噺家一門のこっちとそっちの名人襲名を見通したいざこざで起こる嫌がらせの話。いろんな点で微妙。

探偵役の牧編集長のいつも平常心的な、落ち着きまくったキャラが良い。知的なナイスミドルって感じ。落語界では鉄壁の信頼があるらしく、なにか起こったら相談されているようだ。
寄席視点で描かれる東京(月島、築地)もなんだか雰囲気が良くて「月島といえばもんじゃ」しか知らないんだけど実際はどんな感じなんだろうなあ。