2015/07/11

福家警部補の再訪

福家警部補の再訪
福家警部補の再訪
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東京創元社 (2013-10-04)
売り上げランキング: 19,050
kindle版
■大倉崇裕
福家警部補シリーズ第2弾。
倒叙もの本格ミステリ短篇、4篇収録。

マックス号事件
豪華客船をイメージした豪華フェリー〈マックス〉で起こった殺人事件。乗船チケットは販売開始後数日で完売したというこの船に警察、ましてや福家警部補が乗っているということは想像しにくく、どうするのかなあ、港に着いてから捜査が始まるのかしらんと思っていたらちゃんと出てきた。まあそりゃそうだわな。
この犯人も雑で、証拠をべたべた残しており、案の定、福家警部補にはあっというまに目を付けられている。そんな特徴的なモノを身に着けたまま犯行するなよな…。
被害者が勝手な性格をしているのであんまり同情出来なかった。

失われた灯
真犯人のすることを読んでいて何がしたいのか分かるまでにちょっと時間がかかるのだが、ははあ、考えたなあ。しかし実弾入り拳銃が出てきたのでびっくり。靴脱ぐ順序と靴の位置の部分が良かった。どこから犯行がバレるのかと思っていたけどうーんこれは読者には予想するの難しいなあ。そんなものがあるんだー。

相棒
「相棒」というと流行りの刑事物を連想してしまったが漫才のコンビの話だった。それは「相方」っていうほうが多いんじゃないのかなあ。
この犯人はこの被害者を殺す必要はなかったんじゃないのか、なんで殺す以外の方法を選ばなかったんだろうって納得できなかったが最後まで読んでますます無駄な無意味な無慈悲な殺しだったと思った。被害者に深く同情した。

プロジェクトブルー
ネットでこの著者が怪獣マニア・特撮マニアだという情報を得ていたのでこの話はニヤリとしてしまった。犯行方法はなかなかユニークなこと考えたねって感じだけど雑すぎる! 顔についたモノをふいた麺棒を犯行現場にそのまんま残していくとか有り得ないんだけど…! しかもそれがV字折りで癖がバレるという特徴ありまくりのものだとかもうバカ過ぎる…! これだけ雑な犯行なのにいざ捕まえようとすると証拠固めとかが大変だというのが、なかなか難しいね刑事も大変だねと。

それにしても毎度福家警部補の趣味の多様さには恐れ入るよ! テレビ、映画、演芸に詳しすぎる。捜査のときのイメージとのギャップが面白い。
でも「刑事には見えない」って何度も言われて捜査現場に入るのを毎度止められているんだから不毛な会話をなくすためにも最初から身分証を相手に見せつつ「警視庁の福家と申します」と名乗ればいいのにと毎回いらいらさせられる。これだけしっかりした捜査が出来るひとなのになんでそこをちゃんとしないのかが納得できん。大雑把な性格というキャラならわかるんだけど。忘れ物、身分証がすぐに出てこないとかいうのも取ってつけたようにしか思えない(途中から首から提げるようにしたのは良いアイデアだ)。

このシリーズは単行本で既にあと2巻出ているので文庫化(の後のkindle価格変更)が待ち遠しい。なお、kindle版では解説は省かれている。本編が始まる前のページにいつも「協力・町田暁雄」と書かれていて、いったい何だろうとググってみたらどうも『挨拶』の解説で小山正氏が説明されているらしく、町田氏は刑事コロンボについて造詣が深い方のようだ。