2015/07/03

マローン御難 【再読】

マローン御難 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
クレイグ ライス
早川書房
売り上げランキング: 478,022
■クレイグ・ライス 翻訳:山本やよい
本書は1957年に発表された"Knocked for a Loop"の2003年9月の新訳版である(現在は絶版)。

マローン物にはありがちなんだけど、この話は特に「すぐその場で親に届けていたら」「警察にまっすぐに届けていれば」こんなにややこしい展開にはならなかったんじゃないのかなあと何度も思ってしまった。
そのなかでも特に「エレベータ係の何度も言いかけた発言をきちんと聞いていれば」っていうのはね!
ハナから相手にせずどんな内容かも確認せずに今はそれどころじゃないと発言をことごとく封じるマローンにいらいらさえしてしまった。まあ発言してたらお話が成立しなかったわけで、でもじゃあそもそも「エレベータ係が何か大事なことを言おうとするけど」という設定がなんのために書かれたかというとそれは最後を読めばわかるというか、このオチの台詞をマローンに叫ばせたかったが為だという。

またこれもお馴染みのパターンだけどヘレンが自分から厄介ごとに関わり、ジェイクに連絡を取らないで行方不明になるもんだから彼が心配になって探し回ってマローンのところに押しかけてきてすったもんだがある。携帯の普及した現在では有り得ないことだが昔にしたって固定電話は各家庭にあるのである。あるいは、急ぎの連絡の常套手段だった電報でもいい。なんできちんと夫に心配させないように手配しないのかなあ。

Knocked for a Loopというけれど、なるべくしてそうなったというなら美しいがこれは探偵役のツメが甘すぎるからという気がしてどうもなあ。マローンものファンはこういうぐるぐる大混乱をこそ愛すべきなのかもだが。まあ、このシリーズのことだから最後は絶対大団円に収まると信じていられる、っていうのはあるんだけど…。