2015/06/30

幸運な死体 【再読】

幸運な死体 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-4)
クレイグ・ライス
早川書房
売り上げランキング: 325,563
■クレイグ・ライス 翻訳:小泉喜美子
本書は1945年に発表された"The Lucky Stiff"の邦訳で1982年刊。わたしが持っているのは2000年12月15日の9刷で杉田比呂美のイラストが素敵な新装版(現在は絶版)。
愛人である暗黒街のボス殺しの罪で死刑になる寸前、真犯人の自白で救われたアンナ・マリー。彼女は処刑されたことにして”幽霊”となって復讐を計画する…。

久しぶりに読んで展開をすっかり忘れていたがこれ、シリーズ中でもかなり出来がいい、面白いほうでは。
とにかくよく人が死ぬ話でしかも結構荒っぽい。よく周りの人を巻き添えにしないなって何度か思った。
マローンはアンナ・マリーの美貌にやられてしまって大丈夫かなあという感じ。寅さんと一緒で、幸せになれない宿命のキャラだもんで。
ヘレンとジェイクも活躍。天使のジョーも登場。マギーも元気で何より(わたしはマローンみたいなしっちゃかめっちゃかな、しばしば給料も滞るボスを相手にきちんと健気に働くマギーに敬意を持たざるを得ない)。

ドアの上の板をはずす隠し場所ってそんなに見つかりにくいものかなあ。板壁まで外して探す名人が見逃すかなあ。
ミステリーとしてどんでん返しもあるし、演出が派手だし、なにより悲劇のヒロインが中心なのでドラマチック。
電気椅子の数時間前に真犯人が自白して、とか冒頭からすごい。

それにしてもいくら新装開店のでも葬儀屋にあった花をプレゼントされるっていうのはぞっとしないなあ。まあ、知らぬが仏? アメリカではまた感覚が違うのかも知れないとも思ったけど、なんのために葬儀屋にいたのか尋ねられて女性に花を贈る為だと本当のことをマローンが云っているのに相手には冗談でごまかされたと受けとられているシーンがあり、そりゃあそうだよなあと。