2015/06/28

俳句という愉しみ ――句会の醍醐味 【再読】

俳句という愉しみ―句会の醍醐味 (岩波新書)
小林 恭二
岩波書店
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■小林恭二
1995年2月刊。これは2006年時点で絶版だったのであるが当時たまたま神田の古書店街に行く機会があり、岩波を専門に扱っている古書店の2階であっさり見つけたという我が本棚では珍しい存在。
日記で確かめたらこの時点では前段『俳句という遊び』の存在を後で知ったらしいので、順番は逆だったようだ。

1994年1月に行われた句会の収録。今回の舞台は青梅線「御岳」。御岳(御嶽)渓谷。「みたけ」と読んで、東京都内のほうである。2014年9月に噴火した御嶽山「おんたけさん」と字が同じだから一瞬あれ?って思ってしまった。東京のかたには馴染みのある場所のようですね。

参加者は、三橋敏雄、藤田湘子、有馬朗人、摂津幸彦、小澤實、岸本尚毅、紅一点で大木あまり、短歌界からの讃歌・岡井隆の8名に新書編集部の川上氏と小林恭二。
前回に引き続きのメンバーもいれば今回新たにの方も。そのへんのバランスにも気を配ったそうだ。
会場は2日とも同じ場所で、御岳渓谷の河鹿園という宿。対岸が川合玉堂の美術館になっているのも趣きがあって絶好の句会の場だったとのこと。

今回の本は小林氏の解説よりも句会でのやりとりがメインになっている感じでそれは面白かった。俳人の紹介が間々に入るスタイルは変わらず。
第1作は俳人もプロデュースするほうもなにがなんだかのうちに行われた感が強かったらしく、リベンジを望む声が俳人側からあったこと、また何より読者からの反響が「あまりに大きかったから」だそうだ。

短歌・俳句界の女流作家についての議論があったり、歌人による「俳句と短歌の違い」についての発言に応じてやりとりがあったりと面白いことになっている。
第1日目は「嘱目」。【嘱目とは目に触れたものを俳句にすることを言う。いわゆる写生というのを思いうかべていただければいい】んだそうで。
制限時間は1時間半で10句。全部で80句出揃ったところで句会に入り、短冊に写したあと清記などを経て選句10句という手順で進んでいく。この回の点数はみごとにばらけたとのことで、4点句が最高点句。

「幕間 御岳炉話」として女流の話や俳句の文学史的な流れの話があり、ひとくちに「俳句」と云っても時代や師によっていろいろだということ、特に戦時中の特高による弾圧、戦後のGHQの方針による影響、また俳句の世界は師弟関係がけっこう強いということなどが印象に残った。

2日目は題詠。
「舌」「猫」「日向ぼこ」「竹」「線」「時計」「雪」「土」「待つ」「寒」の10題。
選句は1題につき正選2逆選。

女性一人がいるといないとでこういう場の空気って変わると思う、女性ならではの発言とかあるなあと感じた。また、年代がばらばらなので、最初作った人は伏せて討論しているんだけど後でそれが大先輩の句だとわかるとさりげなくフォローしたり、自分の句だけどケナしたりしていて「実は」となったあとで「うまくトボけていたなあ」とかね。流派というか師匠筋によって季語のとらえ方とかが違ってそのへんの意見交換があったり勉強になる(句作をやるわけじゃないんだけど日本語、文学作品鑑賞としての関心はあるので)。ざっくばらんにみなさん話されていて、そのへんの臨場感が面白い。

選句が始まる前にまず読者も自分で正選、逆選を選んでみてね、と小林氏から提示があるのだがこの「選ぶ」のが結構難しい。俳句はまず「詠める」段階で結構力量を試されている気がする。