2015/04/09

第四の郵便配達夫 【再々読】

第四の郵便配達夫 (創元推理文庫)
クレイグ ライス
東京創元社
売り上げランキング: 917,235
■クレイグ・ライス 翻訳:田口俊樹
本書は1948年に発表された"The Fourth Postman"の邦訳で、1988年に創元推理文庫から刊行された。なお、田口俊樹訳は「新訳」とされているのでこれより前に違う方によって翻訳されていたらしい。
現在はこの田口訳版も絶版で。
電子書籍版(グーテンベルク21)から出ているのは妹尾韶夫という方が翻訳されたもの、こちらは読んでいないのでなんとも言えないが『第四の郵便屋』というタイトルで新樹社から1950年に「ぶらっく選書」として刊行されたものらしい。っていうかもしかしなくても旧訳ってこれのことでしょーね。

死体が倒れるときの音についての話が導入部。郵便配達夫が同じ場所で3人殺されたという事件。
そんな犯人どうやって探すの、って感じだけどなんとフォン・フラナガン警部は既に犯人を特定していた。殺人現場の脇にある屋敷の主人がそうだというのだ。彼は若いころ亡くなった恋人からの手紙をずっと待ち焦がれていてそれでおかしくなり、手紙が来ないから郵便配達夫を殺した――という言いがかりとしか言えない理由で。
そして友人であるマローンにその犯人の弁護をやれとこういうわけでマローンは事件に巻き込まれていくわけである。ちなみにこの主人の娘とヘレンは学校時代の友人でこの家族とも親しい仲だというので事件に関わる。ジェイクは今回水疱瘡にかかるのだが黙って大人しく寝ているタマではないのでいろいろ積極的に関わっていく。というわけでいつものドタバタ・ユーモア・ミステリとあいなる。

このシリーズはJ・J・マローン、ヘレン・ジャスタス、ジェイク・ジャスタスのトリオに加えてフォン・フラナガン警部や天使のジョー、秘書のマギーやギャングのボスまでお馴染みの登場人物たちがとっても魅力的で楽しいのだが本書はそれに加えて野良犬君(名前はついにつけられなかった)もマローンと一緒に活躍するので犬好きのひとには嬉しいかも。行く先、行く先でみんなに「ところでその犬、いくらで譲ってくれる?」と聞かれる人気者、どうやらかなり可愛い気のある犬らしい。

ミステリーとしては、「その理由で3人も殺したの?」とちょっと理解し難いものがあるが、まあ主筋以外の資産家一家の人間模様がなかなか面白い。

脇道だけど完全ネタバレ感想なので以下白文字。
姪の恋人の職業が判明したラストのくだりは爽快だったね、いやーまったく忘れていたよ、「キミを完全に誤解していたよ」って感じ。イイですね、お金持ちの娘に頼らないで全然大丈夫なその甲斐性。そうじゃないパターンがこの種のミステリーでは腐るほど出てくるので食傷気味だったからスカッとしちゃった。やるぅ!