2015/04/29

小林カツ代のお料理入門

小林カツ代のお料理入門 (文春新書)
小林 カツ代
文藝春秋
売り上げランキング: 3,241
■小林カツ代
本書は2003年11月に刊行された『実践 料理のへそ!』に料理写真とレシピを加えて改題し、再構成した新装版、小林カツ代キッチンスタジオの協力を得て刊行したものだそうだ。
だから『実践 料理のへそ!』を持っている方は慌てて買わないように注意。

基本的な料理の基本的な作り方が小林カツ代さんの口調そのままのエッセイと一緒に載っている。
表紙になっているオムライスは昨今流行りの贅沢に卵を複数使ったトロトロ風味では無く、卵は断然1人前1個!というキゼンとした態度で貫かれている。本書の料理はすべてこういうスタンス。
3~4人以上のファミリー向けではなく、どっちかっていうと1~2人の少人数向け。少ない人数だから手間暇かけられないけどちゃっちゃと手早く美味しいもの作れるよ、という感じ。
お弟子さんによるあとがきによれば、
【子どもたちが独立し巣立った後、家族のために作ることの多かった生活スタイルから自分のためだけに料理を作るようになり、その中での発見を綴った料理エッセイとしては最後の作品】だそうで、でも「基本」で「少人数向け」だから一人暮らしをはじめる若い人にも向いているように思う。だからこそ新年度に向けての2月末の発行日なんだろうし。

まだしっかり目は通していなくてとりあえず全部にざーっと目を通しただけなんだけど、例えば終盤に出てくる調味料とかもすんごく普通。そのへんのスーパーで売っている大手メーカーのものばかり。このへんが、「これが好き!」に凝っている昨今の料理人などの挙げる商品と全然違って最初はびっくりしたけどそうだよね、これは誰にでも作れる、基本の、っていう本なんだものこれが正しいんだよね。

どういう料理のレシピが載っているか、例を挙げると、・ひとりすき焼き・オムライス・ 煮魚・ハンバーグなんてのから「ご飯の炊き方」「味噌汁」なんていうほんっとの基礎も載っているし、卵・魚・肉と素材別の解説もある。終盤には調味料の選びかたや料理道具のおすすめまで、さすが新書、実用的だ。

「最後の最後に」に載っている、「塩・胡椒する」とは何か? という一文が目から鱗だった。ちょっと引用してみよう。
 【以前、男性の読者(年齢不詳)から問い合わせがあったんです。「塩胡椒たちが一体、何をするんでしょうか?」。振りかけるんです、と答えると、「どうやってですか?」。
  ですから、ここで、念のため。
  ”塩・胡椒する”とは、塩と胡椒を適宜振りかけることである。え、適宜って、どのくらい? という声が聞こえますが、これが非常に説明しにくい。なにせ、「ちょうどいい量」なんですから。
  野菜炒めとします。フライパンに何がどれくらい入っているか、そのときどきで「ちょうどいい量」は全然違います。その人その人の好みでも違う。レシピを書くにも、いわく言いがたいときに、こう言うわけです。】

――どうです、「塩胡椒する」って、そこのところまでこうやってきちんと書いてくれている料理のプロの方ってそうそういらっしゃらないのでは。
そうだよねえ、「塩胡椒を振る」と云わずに「塩胡椒する」って普通に言うけど料理をしないひとにとっては「どれくらい? 何振り?」ってなるってよく聞く話だもんね。「適量」「適当に」も以下同文みたいで。でもそれをキチッと「小さじ半分くらい」とか書いたとしても実際毎日料理するときにそんなの測っているかっていうとねえ。

実践・料理のへそ! (文春新書)
小林 カツ代
文藝春秋
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