2015/03/26

これで古典がよくわかる

これで古典がよくわかる ちくま文庫
筑摩書房 (2014-11-14)
売り上げランキング: 12,002
kindle版
■橋本治
kindleでいろいろ検索していてこれを見つけて①橋本治という作家に興味があってもっと読んでみたいと思っていた②古典は学生時代からわりと好きだった⇒ので、買って読んでみたら本当に面白くてあっというまに読んでしまった。

本書は1997年11月ごま書房より刊行され、2001年12月ちくま文庫として刊行された、ものを電子化にあたり「改変を施し」2014年11月14日発行されたらしい。「改変を施し」っていうのは初めて見たなあ。「加筆訂正」はよくあるけど。

随分キャッチ―なタイトルが付いているけど、っていうかこのタイトルをそのまんまの意味に真面目に信じるひとも少なかろうが(実用書のたぐいは売れるために多少大袈裟な題名をつけるものだ)、この本を読んで「古典がわかるようになった!」とはならないと思う。
置き換えてみればいいのだ。
「これで英語がよくわかる」とか「これでロシア語がよくわかる」に。
たかだが本1冊読んだだけでわかんなかったロシア語が「よくわかる」になるわけがないんである。
学問に王道なし。
「これで歴史がよくわかる」ならまだちょっとアリかもしれないなーとは思うけど…。歴史の流れを年表で覚えるよりはその流れを道筋を丁寧にわかりやすく説く小説などで俄然興味がわき、細かいことまで頭に入る、っていうことがあり得るから。
でも語学は結局はいろんな単語や文法を覚えないとどうしようもないんだよね。「古典」もほぼ外国語を習得するのに近い、と本書でも書かれている。

しかし「古典なんて難しいし、嫌い」と食わず嫌いで思い込んでいる生徒さんや学生さんが本書を読むことで「あれ?もしかして古典って思ってたより面白そうかも?」「なーんだ、言葉は違うけど、内容がわかってみれば考えていたことや思っていたことはそんなに遠くないじゃない、親近感がわいたな」とイメージアップにつながることはあるんじゃないかな。で、興味をもっていろんな古典にまずは近寄ってみる→ちょっと読んでみたら「外国語」よりは「昔の日本語」なので読みやすい→内容も共感できたりして→勉強にやる気がでる→古典がだんだんわかるようになる→大学で専門的に古典を学ぶようになる……なあんて展開も、あるかも知れない。

さっきちょっと「歴史なら向いてるかも」と書いたけど、本書も古典の文学史みたいな色合いが強いのだ。
こうこうこういう流れでこんなひとたちがこういうふうに日本の文学を築いてきましたよ、だからこの文学はこういう書かれ方なのです、的な。
「ほうほう、なるほどね~ わかりやすいわ~ おもしろ~い」
と好奇心を刺激され、どんどこ読めてしまうのだ。
本書を読んでいると現代ドラマ風に紹介される源実朝に同情したり、兼好法師の若さゆえ(『徒然草』の最初の頃は若いころに書かれたという説の展開あり)の自意識と現実のギャップにもだえる彼の書きっぷりにニヤリとしたり、いろいろ「楽しくなれる」仕掛けを橋本先生がしてくれているなあということをしみじみ感じた。

だからどっちかというと「これで古典が好きになる」のほうが近いんじゃないのかな?
ちなみにわたしは学生時代から国語が好き、現代文も好き、だから古典も好き、という実は誤った三段論法(?)で古典に対して最初っから好意的な生徒だった。対して英語は嫌いで苦手だった。もし最初に「古典も英語と同じ外国語ざんす!」という意識を植え付けられていたらヤバかったかも知れん。なんちゃって。

本書でも書かれていたけど、古典は語学だから、「慣れ」も重要な要素。
高校時代、文法や単語の丸暗記は苦手だから「数読んで慣れよう」といろんな古典の名作の有名な部分ばかりを集めたような参考書を買ってきてひたすら読んでたんだけど、これ、橋本先生によれば大正解だったみたいだね。
英語も同じことをすれば良かったのかも(今頃気付く)。でも英語はフィーリングではどうにもならんしなー(古典はフィーリングである程度どうにかなる!言い切る!)。

この本、高校生にオススメです。中学3年生くらいからでもイケるかな。

「おまけの2」で「枚数の都合で『室町~江戸時代の古典』がカットされちゃいましたが」と書かれており、残念。っていうか続刊出してくれたら読む!のになあ。
そういえば大昔にNHK教育で「まんがで読む古典」っていうアニメと解説がくっついたすごく面白い番組があったんだけど、ああいうのまたやってくれないかな~(と思ってググったらこの番組の最初は「まんがで読む枕草子」でその脚本をなんとあーた、この橋本治が書いていたのだと!さっすがー。