2015/03/14

ようこそポルトガル食堂へ

ようこそポルトガル食堂へ
幻冬舎 (2014-07-11)
売り上げランキング: 19,468
kindle版
■馬田草織
本書は2008年4月産業出版センターより刊行された単行本に大幅な加筆修正(「文庫版あとがき」によればレシピ・写真を抜いてエッセイだけをまとめ、最後に最新のポルトガル取材旅行の章「ヴィーニョ・ヴェルデを巡る旅」を追加した、らしい)をして幻冬舎文庫から2014年7月に出たものの、電子書籍版である。

タイトルと表紙の可愛らしさから買って読みはじめたが、最初はポツポツと短く区切られた書かれた方(だいたい1ページごとに小タイトルがゴシック体で出てくる)に集中力を殺がれ、気を抜くと目が活字だけを拾って流して全然脳に届いていない感じ、読み込めない感じになっていて戻って読み直し……というふうで全然進まなかった。

なんだろう、興味持ってこの本買ったのになんで、と考えたのだけどそもそもわたしにポルトガルの知識が無さすぎる、知識どころかイメージが「江戸時代に鎖国してたけどポルトガルとかオランダとかは出島に出入り出来て、だから日本に天麩羅とかそういう文化が入ってきたんだよね~?南蛮文化だよね~?」という、ソコで終わっている! 江戸時代て! 日本チョンマゲの時代じゃん! うわ恥ずかしすぎる。
このエッセイが悪いんじゃなくてこっちに下地が無さすぎ、なんだよー。

知識以前にとりあえずイメージだけでもつかもうと思って、馬田さんのブログを少しだけ覗いてみたり、ウィキペディアやグーグルマップでちょいと彼の地の様子をうかがってみたりした。わー綺麗な町だなあ。

でも、なんで馬田さんは「ポルトガル」だったんだろう…?
その答えは、実はご本人にもよくわからないというのが「文庫版あとがき」に書かれている。そもそもこの本は「はじめに」が無くていきなりポルトガルが始まっていくのですごく戸惑って、途中で先に「おわりに」「文庫版あとがき」 を読んだりしたんだけど…。

しかしこの本に出てくるポルトガルのひととの交流とかすんごい感じ良いんだよなあ! それってきっと馬田さんが素敵なひとだからだよなあ!ブログの様子とか、みんなとワイワイやってる感じとか楽しそうだし。
ポルトガルについてわかんなくても、そういう「ひととひととの触れあい」みたいなのを読めばそれが正解なんじゃないかな、と思えてきて、そうしたら自分の中にすとんとこの本が落ちてきて、それで最初のページから改めて読みはじめたら驚くほど飲み込みが早くなった。後はすいすい読めた。

それにしてもこの本、食べ物がこれでもかと出てくる。
ポルトガルの料理は和食とは違うのはもちろん、日本で日常的に食べる西洋から入ってきた料理とも違うので、あんまり馴染みがない世界。少なくともわたしには。豚を丸ごと、はなんとか想像できてもヤギ丸ごと、はヤギを食べたことがないからどんな味かわからない。動物の肉や内臓を食べる文化はわかるけど、その血を料理に使うのがポピュラーであるというのはびっくりだ。血の入ったリゾット、どんなんだろう?
基本的に、肉食文化なのである。そして、全部美味しくいただこうという精神があるようだ。魚料理も豊富で、米も使う。このへんは日本人に食べやすそうかな。コリアンダーがよく出てくるから好き嫌いが出るような気もするが。
ラードがポイントになってるレシピが多い。自家製でラードを作ってそれで鶏を揚げたりしている。うわあ、絶対美味しいよねそれー。

あと、ワイン。
本書には美味しい料理と、それに合うワインの話が欠かせないことになっている。どれくらいかというと、この本を読んでいるとワインを飲めないわたしが「なんだかワイン無しでは料理を食べた喜びがしないのでは」と錯覚してしまうくらいワインへの愛と讃歌に満ちている。
ああ、美味しそうなポルトガルの家庭料理。そして日常がぶがぶ飲んで楽しく陽気なワインのある食卓。

素晴らしい。今度ゆっくり酒屋さんに行ってポルトガルのワインを探してみようか。ポルトワインはポルトガルのワイン。豊潤で美味しそう。少しずつ味わうのが贅沢な感じかな。ヴィーニョ・ヴェルデは「緑のワイン」。しゅわしゅわした炭酸とブドウの若々しい香り、なんて爽やかそうな!
けど、そういえばわたしワイン飲めなかったね! ――みたいな。

本書によれば日本でも美味しいポルトガル料理が食べられるお店はあるそうで、リストも載っている。東京が中心だけど大阪にもあるようだ。機会があれば行ってみたい、でもちょっと冒険かなー。