2015/02/26

壇流クッキング

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)
中央公論新社 (2013-03-28)
売り上げランキング: 10,526
kindle版
■壇一雄
火宅の人。
女優・壇ふみさんの御実父。
「最後の無頼派」。
この著者について持っているイメージはこんな感じなんだけど、本書を「料理エッセイの元祖みたいなこれをそういえばまだ未読だったな!」と思って買って読んでいるときにわたしの頭の中にあったのは料理研究家みたいにエプロンを付け、ちょっと押しの強い人懐っこさと同じ口癖を何回も云うような、そういうオジサンの図だった。ざっくり読んでから「あれっ、そういえばこの壇一雄ってあの〝無頼派"の壇一雄だよねえ?」と再確認してしまったくらい、本書には無頼の「ぶ」の字も無いのだった。料理好きのおっちゃんやん……昔の料理エッセイなのにやたら海外の庶民食に詳しくていったいナニモノって感じだったけど壇一雄だよ!

料理は、季節に合わせていろんなレシピが出てくるんだけど、ほんとにバラエティ豊か。
新聞(産経。当時はサンケイ)に連載されていたので途中であちこちから感想や意見が聞こえてくるらしく、「○○な感じの料理が多い」と云われれば「じゃあ今回は違う趣向のを紹介しよう」というふうな展開が文中何度かあったので、偏らず、まんべんなく、を心掛けていたのかも。っていうか、「なにおう。こんなもの知ってるぜ」とご自分の幅の広さを主張している、というふうにも感じたけど。

昭和45年(1970年)6月に単行本が出て、昭和50年に中公文庫に入ったのかな、いま出回っているのは2002年9月の改版、の2003年12月電子書籍版。

傾向としては、基本的に家庭料理で普段食べるケの日向けレシピがほとんどなんだけど、たまにハレの日用のもある。おせち料理紹介もあるけどちょっと変化球かな…。
内臓系のモツとかタンとかホルモン系を使う料理が多い。正直苦手だけどそういう人間に対して偏見を棄てよ、安くて本当に美味しいんだぜ、というスタンスで書いてある。まあそうなんでしょーけどね。
でも鶏まるごと一羽使う料理とか……鶏まるごと売ってるの、久しく見てないなあどこに売ってるんだろう。豚足とかスーパーで見ないよ…。
煮込む系も多い。半日とか一日とか二日掛かりの料理もある。まあ煮込むの好きだけどね。
いまもメジャーなメニューもあれば、昔の日常食でいまはあんまり流行らないなあ、というのもあるし、日本・ロシア・中国・韓国、イタリア・スペインといろんなところの料理が出てくるのでへえーとびっくりしたり感心したり。
季節別にレシピがわかれているので実用的だな。

梅干しやラッキョウを漬けると料理の幅が広がるのでオススメ、伊達巻は魚をつぶしたりして自作のススメ、ヨーグルトも牛乳を使って自作がイイ、という感じなので決して「手軽に簡単な」料理本では無いんだけど、気さくな感じで「難しくないよ!簡単だよ!」を伝えようとして書かれているということはよく伝わってくる。いやそうは云ってもけっこー大変では?というレシピもあるけど、まあ、そう難しくないのかな?というのもあり、いろいろだ。

文章にやたら読点「、」が多いのがちょっと気になったけどまあそういう文体の方なんだね。そういえば壇一雄の本って初めて読んだわけだ。

どんな料理レシピが載っているのか、いくつか挙げておく。全部で92種だそうだ。それ全部写すのはツライのでほんの一部ね。前から順番にこっちの気分でちょいちょい拾い写すということで。
【カツオのたたき、具入り肉チマキ、イカのスペイン風・中華風、タンハツ鍋、コハダずし、大正コロッケ、東坡肉(豚の角煮)、ツユク、柿の葉ずし、ソーメン、カレーライス、ピクルス、干ダラとトウガンのあんかけ、ロースト・ビーフ、サバ・イワシの煮付け、鶏の白蒸し(白切鶏)、オクラのおろし和え、ショッツル鍋、キリタンポ鍋、ボルシチ、アナゴ丼、クラム・チャウダー、ヒジキと納豆汁、牛タンの塩漬、ダイコン餅、伊達巻、アンコウ鍋、ジンギスカン鍋、ナムル、麻婆豆腐、杏仁豆腐、鯨鍋、チャンポンと皿うどん、パエリヤ、ブイヤベース、スペイン酢だこ、ビーフ・シチュー etc.】

鍋が多いような感じだけど全部読むとそうでもない、かなーあーでも煮込んでるしなー。野菜は少ないかもね?野菜主役の料理は。まあ主役張れる料理が多いってことかな。

実際に作ってみるかはわからん。既に自分なりの作り方持ってるのもあるしー、檀さんのレシピはちょい古い感じのも正直あるし、でもまあ気が向いたらね。
全体的に豪快なのが多いかな! でもこれ読んでこのとーりに作るの、まず買い出しが大変そうだな、ってレシピが多いし調味料等の分量は大雑把にしか書いていないので料理初心者向けではないと思う。