2015/02/11

犯罪心理捜査官セバスチャン

犯罪心理捜査官セバスチャン 上
東京創元社 (2014-06-27)
売り上げランキング: 80
犯罪心理捜査官セバスチャン 下
東京創元社 (2014-06-27)
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kindle版
■ミカエル・ヨート&ハンス・ローセンフェルト 翻訳:ヘレンハルメ美穂
本書は、スウェーデンを代表する脚本家ふたりがタッグを組み、傍若無人、傲岸不遜、女たらしの犯罪心理学者を主人公に据えて書きはじめた、<犯罪心理捜査官セバスチャン>シリーズの第一作にあたる。
本書下巻にある「訳者あとがき」はこの一文で始まっている。
本国スウェーデンでは2010年8月に刊行されて以来、五カ月連続でハードカバーのベストセラートップ10入りを果たした。】そうだ。
原題は"DET FÖRDOLDA"。ネットで翻訳してみると「不分明」という日本語になるんだけど日本語になってもよくわからない言葉だ。まあ、内容を最後まで読んだ身には「あー…」と思い当たるふしがあるんだけど。

本書の邦訳は2014年6月28日に出ており、amazonのおすすめでも再三上がってきていて気にはなっていたけど海の物とも山の物ともわからないし「上下巻かー。長いなー」と見送っていたのだ。
先日kindleの「本日のセール」にこの上巻が¥499円で出ていたので試しに読んでみるには良い機会だと購入した。

まったくの白紙で読みはじめたので、「スウェーデンのミステリーか、珍しいなあ」と思ったが読んでいる感覚はふつうの英米ミステリを読んでいるのとあまり違いを感じなかった。
「国家刑事警察の殺人捜査特別班」という組織が出てくるんだけど、そのへんの仕組みを知らなくても「日本でも地方の重大事件に警視庁が出てくるとか内容に応じて公安が出張るとかあるからそんな感じかなー」と思って読んだ。読後、「訳者あとがき」を読んだらだいたいその想像で合っていたみたい。

セバスチャンのキャラクターについては本文を読みはじめるより先にタイトルの後に書いてある「あらすじ」みたいなアオリ文章を読んでしまい、知ってしまったんだけどこれってあれか、創元推理文庫って中表紙のタイトル下にそういえばこういうのが毎回書いてあって、わたしはこれで先に情報を得るのが嫌だからいつもわざと無視していた部分か!(いま気付いた、遅!)
kindle版だからそういういつもの紙の本と感覚が違うから読んじゃったんだよなー、まーいーけど次回から気を付けようっと。

というわけでこのレビューでも余計なことは書かないようにするけれど、結論として評価だけ書いておくと、面白かった!
良いミステリーだった。
上巻を読み終えてなんの迷いもなく下巻を購入した。途中でやめられないだけではなく、本書のレベルの高さに敬意を抱きつつあった。最後まで読んだいまとなっては言わずもがな。
素晴らしい作品だった。
読んでる途中は犯人が憎らしくて早くつかまって罪を償わせなければ気が済まなかったが、真相がわかってみればなんともやるせない、悲しい切ない苦しい。いろんな立場の登場人物それぞれのことをあらためて考えさせられた。上手い!
最後、事件を終えてからもまだ続きがあったので「ちょっと冗長じゃないのぅ」と思いつつ読んだんだけどちゃんと意味があったんだねー。わー。

セバスチャンのことは最初の方からなんかジャック・フロスト警部のイメージと似た印象を抱きつつ読んでしまったんだけどもちろん別人デス、はい。セバスチャンに対して嫌悪感とかは全然抱かなくて、なんかこのひと女のひとに好かれるのわかる気がする(仕事のメンバーには睨まれてるけどでも優秀だよね)。性格も云うほど悪くないと思うけどな。

むしろこの小説ではトーマス・ハラルドソンに腹が立ってイライラしてしかたなかった(そういう位置づけで書かれてるし)。こういうキャラをひとり混ぜておくのが最近のミステリの流行りなのかしらねえ。昔はこんなのいなかったと思うんだけど。と言い切れるほど数を読んでいないんだけどフロストシリーズの近作にもいたし…。リアルはそんなもんでしょーけどね。
ちなみにハンセルも好きじゃない。
ヴァニヤとビリーが好き。特にビリーは心のオアシスよ!

原著ではシリーズ第4作まで出ているそうなので、楽しみです。