2015/01/13

パーカー・パイン登場

パーカー・パイン登場 ハヤカワ文庫―クリスティー文庫
早川書房 (2012-08-01)
売り上げランキング: 12,748
kindle版
■アガサ・クリスティ 翻訳: 乾信一郎
パーカー・パイン・シリーズばかり12篇を集めた短篇集。
ハヤカワ文庫で読むのは初めてだったが、新潮文庫から昔出ていた『クリスティ短編集』(Ⅰ、Ⅱ)に9篇が収録されていたので初読みは3篇。

新聞に「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を。リッチモンド街十七」という広告を出している中年男性。こういうのは職業なんていうんだろうなあ。探偵じゃないし。人生相談? でもP・Pのすごいところは相談を受けて答えるんじゃなくて彼が持っているスタッフとか客に払わせた費用とかによって相談主を「幸せ」にしちゃうところ。そういうことが出来るのは彼の人生経験と前職によって得られた統計によるらしい。
スタッフにはポアロシリーズでお馴染みのミス・レモンと女流作家オリヴァ―夫人も登場する。
ポアロもの等と違って、殺人がほとんど出て来ないこと、全体に明るいポップな雰囲気の作品であることなどから気軽に楽しめる。

中年夫人の事件 - The Case of the Middle-aged Wife ★
これは初めて読んだとき衝撃を受けて以来ずっと覚えている話だが何べん読んでも面白いのだった。

退屈している軍人の事件 - The Case of the Discontented Soldier
なんとなく軍隊を引いた人だから中年以降と思っていたけど意外に若かったようね。映像化したら映えそうな話。

困りはてた婦人の事件 - The Case of the Distressed Lady
出来心で模造品とすり替えてしまった宝石を元に戻してほしいという依頼。捨て台詞が見苦しいなあ。逆切れとはこのことだね。

不満な夫の事件 - The Case of the Discontented Husband
妻の心変わりをなんとかしてほしいという夫の依頼。珍しくパインが失敗する話。

サラリーマンの事件 - The Case of the City Clerk
平穏無事な人生に不満なサラリーマンの話。相手の女性はそれでいいのかと思っていたら。「金の切れ目が縁の切れ目」にならないとイイデスね。

大金持ちの婦人の事件 - The Case of the Rich Woman ★
これはなかなか大がかりで長期的な計画だなあ。深いっす。

あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか? - Have You Got Everything You Want?
長距離列車の中の事件。夫がメモした痕跡を元に不安になった妻は…。

バグダッドの門 - The Gate of Baghdad ★
この話以降、P・Pは旅先で休暇中なんだけどなんのかんので事件に巻き込まれる系。出身大学のネクタイを付けるのってイギリスでは普通みたいね。

シーラーズにある家 - The House at Shiraz ★
昔読んだ訳では「シラズの家」で、「知らずの家」と脳内で雰囲気を混ぜていたっけ(内容と関係無し)。イギリスから中東にあるシーラーズに来た娘が何故かふさぎ込んでずっと帰国しようとしない…。

高価な真珠 - The Pearl of Price
 P・Pのやり方は心理学だよね。8万ドル(!)のイヤリングをしょっちゅう落としても付け続けるこの娘は大丈夫か。

ナイル河の殺人 - Death on the Nile
そこまでわかっていても殺人を防ぐことは出来なかったのかなあ、残念だなあ。 

デルファイの神託 - The Oracle at Delphi ★
溺愛する息子が誘拐された夫人を助ける話。これは映像化不可能だね。いや、やり方をちょっと工夫すれば出来るか…。

ちなみに新潮文庫『クリスティ短編集』の収録作品は以下の通り。ポアロ、マープル、P・P、ノンシリーズといろんなものが入っていて良い短篇集だった。絶版。取っておけばよかったなあ。タイトルが微妙に違うのも面白い。

クリスティ短編集 (1) (新潮文庫)
クリスティ
新潮社
売り上げランキング: 125,535
Ⅰ=「エジプト墓地の冒険」「火曜の夜のつどい」「検察側の証人」「うぐいす荘」「ダヴェンハイム氏の失踪」「イタリア貴族の怪死」「アスターティの神殿」「金塊事件」「舗道血痕」「動機対機会」「中年の人妻の事件」「悩める淑女の事件」「あるサラリーマンの冒険」

Ⅱ=「溺死」「クリスマスの悲劇」「不満な軍人の事件」「不満な夫の事件」「金持ちの女の事件」「シラズの家」「高価な真珠」「デルフィの神託」「遺言書紛失事件」「首相誘拐事件」「安アパートの冒険」「マーズドン荘の悲劇」「百万ドル公債の盗難」「グランド・メトロポリタンの宝石盗難事件」