2014/12/10

半七捕物帳 34~43 【再読】

kindle版
■岡村綺堂
34 雷獣と蛇 ★★
昔の人は雷獣というのが落ちてきて暴れる→被害が出る、というのを信じていたそうだ。ほーん、なるほどねえ。電気という概念が一般になったのはいつからなんだろう。
この回は珍しく2本立て。ヘビがうようよ集まって塚みたいになっている図というのは確かに気味が悪いなあ。髪を焼くとヘビが集まるというのは本当なのかな。

35 半七先生 ★
ユーモラスなタイトルだけど、中身は非常に後味が悪い。それは、いい大人がみな自己中心的でそれがために十やそこらの子どもが犠牲になる話だからだ。しかもあっさり夫婦におさまったりしていて、胸糞悪いわ(言葉が汚くなって失礼)。
 
36 冬の金魚 ★★
江戸時代にもこういう風流と云うか半自然の贅沢が流行ったそうで。冬にぬるま湯のなかで生きる金魚というのを結構なお値段で取引するというのだ。お金持ちの道楽よねえ。
それにしてもこの話なんかわかりやすくそうだけど、「半七親分の説明の段になって初めて書かれる事実」っていうのが結構あるよなあこのシリーズって…。それを書かずに謎だけ提示してきたら読者は推理もへったくれもない。まあそういうスタンスで書かれていないんでしょーけども。
 
37 松茸 ★★★
このお話で半七親分の誕生日は十月半ばであることがわかる。毎年息子夫婦と孫2人と知人で赤飯と尾頭付きでお祝いをしているのだと。まあなんて素晴らしい。
それはともかく、江戸時代の「御松茸」をめぐるこの事件は姑さんがお嫁さんを大事にしていて、夫婦仲も睦まじくて、お嫁さんの里から付いてきた女中さんもすごくよく出来た鑑のようなひとで、とっても良い話だった。犯人はとんでもない人間のクズだったが。こんなのに付込まれたら最悪だよなあ、こちらに何の落ち度もないのに!
これもある迷信が絡んでいる。この迷信はわたしも知ってるから現代でも気にするひとは少なくないのかも知れない。

38 人形使い ★★
夜中に人形がひとりでに動いているのを見た人形つかい。それがきっかけで人形つかい同士で喧嘩になってしまう。事件は思わぬ展開を見せ…。

39 少年少女の死 
タイトルだけで悲しくなるが中身もそのとおりだった。大正の自転車が流行り出したころの雑談(下手な素人がぶつかってくるとか…玄人がいるのかなあ?)から江戸時代の思い出話に移る。
これも2本立て。少女の死は現代でもそのまんま、こういう事件が度々あるよなあ。言語道断。もうひとつの話は子どもが可哀想というのは勿論だけど被害者の父親が愚か者過ぎて腹立つ!理性をうしなっていたんだろうけど母親が憐れ過ぎる。DQNは江戸時代にもいたんだな。
子どもが犠牲になる話はつらい。自転車の話から派生するのは無理があるなあと思った。

40 異人の首 
尊皇攘夷がさかんになっていた時代ならでは、攘夷派を騙った押借りがちょこちょこ出たらしい。冒頭の半七親分の妹さんの花見の相談が可愛らしい。

41 一つ目小僧 ★
怪談風?だけどすぐにそうじゃないとわかる。茶坊主が掛け軸を何回もくるくるするところが面白かったな。こういう事件が成立するということは武家の空き屋敷がけっこうあったってことかな?それにしても鶉一羽が15両って凄いなあ。10両以上の犯罪だと首が飛んだ、って次の話にも出てきた。今でいうと10両ってどのくらいの価値なんだろう…。

42 仮面 ★★★
面白かったけど、これは捕物じゃないよなあ。道具屋が欲をかかなければ何も起こらなかったわけだよね。しかも25両を150両とかどんだけ…。仮面1枚に150両。首が15回飛ぶってことっすね。
 
43 柳原堤の女 ★★
これも怪談風の出だし。いろいろ謂れのある清水山という場所に謎の女が出没するという…。
ミステリーによく出てきて迷信&誤解のある病気ナンバーワンのやつなんだけど、うーんこの話読むとすごい違和感があるなあ。この話は3つの謎が絡むんだけど最後の1つに関してはよくわからないまま。謎を盛り上げるためにいろいろ仕込んだけど収集つかなくなった感が否めないかも。解決篇までは面白かった。

半七親分の妹・お粂さんは常磐津の師匠で、母親と二人暮らしでまだ独身で、このシリーズには時々登場するけどすごく感じのいい人。半七親分の奥さんお仙さんも同じ程度の登場率かな。このひとも良い感じ。奥さんについてはほとんど描写が無いんだよね。半七シリーズは短篇だし、事件の話だけで手一杯になっちゃうのはわかるけど。あと江戸時代の元号で全部出てくるのでちゃんと調べて表にでもしないと時系列がわかんないというのもあるな。このとき親分いくつ?みたいなのは全然わからん。まあ、細かいことは気にせず読んでマス。